約 1,893,877 件
https://w.atwiki.jp/emhigashi/pages/44.html
一般教書演説(State of the Union Address)とは、東山連合帝国で皇帝が、東山連合帝国国会の議員を対象に行う演説で、国の現状(State of the Union)についての皇帝の見解を述べる。 概要 皇帝は国会出席権を持たないが、憲法の規定では文書の形で「教書」を国会に送付することが認められている。国会による特別な招待の下で、皇帝が国会議員に対して教書を口頭で演説することが慣習化した行事が、一般教書演説である。慣例として、1月最後の火曜日に演説が行われることが多い。出席者は大統領、副大統領、国会議員と国会議長にとどまらず、最高法院法官、憲法裁判所裁判官、国務大臣、統合参謀本部の将官といった、東山連合帝国の三権と軍の首脳が一堂に会する。 したがって、東山連合帝国国会議事堂に対する核攻撃・事故・テロなどで出席者の多くが死亡あるいは職務執行不能になった場合、大統領職(国家指揮権限)を継承できる人物がいなくなり、政府の活動が不可能になる可能性があるため、副大統領、国会議長に次ぐ第3順位の大統領継承権を有する国務大臣の1人と、最近では国会議員数人ずつが「指定生存者」として欠席し、国会議事堂から離れた安全な場所に待機することになっている。また皇位継承者の皇族は基本的に皇居内の防空センターに待機する。議場では国会議長が議長席につき、与野党議員ともに盛大な拍手で皇帝の入場を迎える友好的な雰囲気の下に演説が開始される。演説中、言及される個別の政策項目に賛成する議員による拍手でしばしば演説が中断されるが、当該項目に反対する議員の意志表明は拍手を控えることにとどまり、野次やブーイングなどが行われることは通常ない。 慣例的に、皇帝は入場の際、国会守衛長の先導により、国会の長である国会議長の指示を仰ぎ、また、演説に際し、国会議長の許可がなくてはならない。この慣例は、国家元首である皇帝であっても、立法府であり、国民の代表者の集う国会に足を踏み入れたら、国会の長である国会議長に従わなければならない、という意味合いを持っており、国民主権の大原則を示す好例と言える。また、一般教書演説の原稿は、演説開始の直前まで繰り返し修正が行われることでも有名である。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7441.html
前ページ次ページラスボスだった使い魔 「ぐはっ!!?」 神聖アルビオン共和国皇帝オリヴァー・クロムウェルは個室にて付き人のデブデダビデに殴られ、盛大に吹っ飛んだ。 そしてそのままゴロゴロと床を転がり、壁にドスンとぶち当たってようやく停止する。 「う、う、うぅ、ぐ……!」 呻き声を上げながら立ち上がるアルビオン皇帝。 その姿からは、威厳や風格といった類のものはカケラも感じられなかった。 「……あぁ、皇帝陛下? 俺の聞き間違いだったら悪いから、先程貴様が口にしたことをもう一度だけ言って貰えるか?」 「ヒ、ヒィ……!」 付き人に凄まれ、クロムウェルはガタガタと震えながらも再びその言葉を告げる。 「わ、私は……私は恐いのです、ミスタ! ミスタ・デブデダビデ!! あのアインストという正体不明のバケモノは我が国の各地に出没し、軍はその対応に手一杯! その上トリステインとゲルマニアが攻め込んで来ました!! アインストに引き付けられたせいで艦隊の対応は遅れ、奴らとの戦闘によって我が軍の艦隊はほぼ壊滅状態に陥り、しかも敵は要所であるシティオブサウスゴータを今夜にも……」 ペラペラと『いかに我が軍が窮地に立たされているか』を語るクロムウェル。 彼の顔には、追い詰められた切実さや悲愴感がにじみ出ていた。 だがそれを聞いたデブデダビデは不機嫌そうに舌打ちをすると、ヅカヅカとクロムウェルの元まで歩いていき、その身体を無造作に蹴り飛ばした。 「ごぇえっ!!」 叫び声を上げつつ、またもや床を転がるクロムウェル。 そして小太りの男は露骨に呆れた様子を見せながら、痩せた小男に語りかける。 「今更何を言っている。俺も聞いた話でしかないが、『王になってみたい』と言ったのは貴様ではないのか?」 「そ、それは……確かにその通りですが……」 かつての出来事がクロムウェルの脳裏をよぎる。 もう三年も前になるだろうか。 当時ただの司教でしかなかったクロムウェルが、ちょっとした届け物の用事でガリアの首都リュティスに向かった時のこと。 何の気なしに立ち寄った酒場で、物乞いの老人に酒を一杯おごり……。 ―――「司教。酒のお礼に望むものを一つ、あなたにあげよう。言ってごらんなさい」――― ―――「望むもの? ハハ、そうだな。それならば王になってみたい」――― 無論、酒の席でのたわむれの言葉だ。 物乞いに『望むものをあげよう』などと言われて、本気にする者はまずいない。 しかしその翌日の朝、宿泊した宿にガリアの魔法騎士が現れ、あれよあれよと言う間にラグドリアン湖まで連れられ、水の精霊から『アンドバリ』の指輪を奪うことになり……。 気が付いたら、一介の地方司教にすぎなった自分は『レコン・キスタ』の盟主となってアルビオン王国に戦いを挑んでいたのだ。 なお、この目の前のデブデダビデという男が派遣されてきたのは、そのアルビオン王国との戦いの末期のことである。 「おお……、空の上のこの大陸だけで、小物の私には過ぎたるものでありましたものを……。何ゆえにトリステインやゲルマニアへ攻め込む必要があったのでありましょうか?」 「『聖地』とやらの奪還のためだろう。……貴様らハルケギニアの人間、特にブリミル教徒にとっては気の遠くなるほどの年月をかけた至上の目的だと聞いているぞ」 「私とて聖職者の端くれであります。聖地回復は夢であることに間違いはないのですが……」 「それならば民の先頭に立ち、その夢に向けて邁進していろ」 こともなげに言うデブデダビデに向かって、クロムウェルは今にも号泣しかねない勢いでまくし立てる。 「わたっ、私には荷が重過ぎるのです! 敵が……我が国土に敵が攻め込みました!! あの無能な王たちのように私を吊るそうと、敵がやって来たのです!! どうすればいいのでしょうか!!? あのお方は! あのお方は確実にこの忌まわしい国に兵をよこしてくれるので……」 「チッ」 再び露骨に舌打ちするデブデダビデ。 もはやいちいち殴ったり蹴ったりするのも面倒になってきたらしい。 「……だが、その指輪にはもう一働きしてもらわねばならん」 「は?」 デブデダビデは足下にすがり付いてくるクロムウェルの腕を左手で掴み、強引に捻り上げた。 「ぎぃぁぁああああっ!!」 「わめくな。腕がなくとも生きている奴などいくらでもいる」 ミシミシと音を立てるクロムウェルの腕。 その先端、指に嵌められていた『アンドバリ』の指輪に、デブデダビデは視線を集中させる。 「な、何……を?」 クロムウェルはいきなり妙な行動を取り始めたデブデダビデへと問いかけるが、彼はアルビオン皇帝であるはずの男をほぼ完全に無視し続けていた。 「容れ物は……フン、取りあえずアレでいいか」 空いている右手で近くにあった小さめの水差しに手を伸ばし、フタを外して指輪の近くまで持ってくる。 そしてクロムウェルの腕を掴んでいるデブデダビデの左腕が淡く光りだし……。 「ぁ……ぁ、が、ぐぎゃぁぁぁあああああああああああああああ!!!!」 「やはり俺では、干渉による抽出は不可能なようだな……。力尽くで搾り出すしかないか」 ビギビギとクロムウェルの腕から指にかけてヒビが入るかのように裂傷が走り、それに合わせてクロムウェルも絶叫を上げる。しかしデブデダビデは構わずその手を光らせ続けた。 『アンドバリ』の指輪は光に呑み込まれ、やがて指輪自体も光を放ち……、 ぽたっ、ぽたっ。 まるで溶け出していくかのようにして指輪から水差しへ雫がこぼれ落ちていき、その水差しに数滴ほど雫が注がれた時点でデブデダビデの手の発光は消えていく。 なお、水差しにはクロムウェルの血も決して少なくない量が入っていたが、それに関してはやはり無視されていた。 「……こんなものだな。まったく、エネルギーの抽出などという繊細な作業は得意分野じゃないんだが……。まあ我が神は混沌をお望みだからな、仕方がないか」 水差しの中の液体を揺らしながら、デブデダビデは息をつく。 どうやらそれなりに疲れる作業だったらしい。 「さて、どのタイミングで使うのがベストなのだろうな」 そのまま歩いて部屋から出ようとするデブデダビデ。 しかし、そんな彼に腕をズタズタにされたアルビオン皇帝が悲痛な様子で声を荒げた。 「お、お待ちください!! どこへ、どこへ行かれるのですか!!!?」 「あ?」 デブデダビデはいかにも面倒そうにクロムウェルを見る。 「……ああ、少し出かけてくるだけだよ。心配するな」 「本当ですな!? 戻って来られるのでしょうな!?」 「しつこいな。俺にも色々と仕事があって、お前にばかり構っているわけにはいかないんだよ。その指輪は精神安定剤の代わりにくれてやるから、それで何とか上手くやれ」 「そ、そんなことを言われましても……!!」 血まみれの腕を引きずりながら、クロムウェルはまたデブデダビデにすがり付こうとする。 そんなクロムウェルに対してデブデダビデはわずらわしさを隠そうともせず、いい加減に対応した。 「あー……アレだ。確かトリステインの教育機関を占拠して、貴族のガキを人質にしようってプランがあっただろう。それで起死回生でも狙え」 そう言えば決行は今夜だったかな、と首をひねりながらデブデダビデは言う。 だがクロムウェルは納得しない。 「失敗すれば何とします!! 逆に言えば、それしか起死回生の手段はないのですぞ!!」 「別に負けると決まったわけでもないだろう。サウス……なんとかという街も陥落するとは限らんし」 「ミスタ……!?」 まるでこの戦争の行方などどうでもいい、と言わんばかりのデブデダビデにクロムウェルは大いに困惑した。 どういうことだ。 この男は自分の補佐をし、アルビオンを勝利に導くためにガリアから使わされたはずではなかったのか。 口をパクパクと激しく開閉させながら何とか二の句を継ごうとするクロムウェルだったが、しかし小太りの男はそんな暇も与えずに一方的に喋る。 「まあ、いずれにせよ明日だ。……明日の夜が明ける頃には、その二つの結果が出る。その報告を大きく構えて待つのがお前の仕事、ということだな」 そして水差しを持ったまま部屋を去っていくデブデダビデ。 「お、お待ちを!! ミスタ!! せめて、せめてガリアが兵をよこしてくれるという確実な保証を……!!」 アルビオン皇帝は必死に声を張り上げて自分の付き人を呼び止めようとするが、その相手が皇帝の方を振り向くことはなかった。 ラ・フォンティーヌ。 病弱で領地から出ることを許されず、嫁に行けなければ婿も取れない二番目の娘を不憫に思ったラ・ヴァリエール公爵が、 『せめて限られた領地の中だけでも出歩く機会を作ってやろう』 と、自分の領地の一部をその二番目の娘に分け与えた土地である。 これによって二番目の娘―――カトレアはフォンティーヌ家の当主となり、取りあえず体裁だけでも貴族の形を取れるようにもなったため、一石二鳥の方策と言えた。 とは言え、ラ・フォンテーヌは実質的にはあくまで『ラ・ヴァリエールの一部』という扱いでしかなく、領地の管理はほとんどヴァリエール家がやっているのだが。 そんなラ・フォンティーヌの領地にある、ほとんどカトレアのためだけに建てられたと言っても過言ではない屋敷の中。 カトレアは銀髪の男と二人きりで楽しそうに話をしていた。 「それじゃやっぱり姉さまは生徒に厳しいんですか?」 「……エレオノールは基本的に『褒める』ということをしないからな。基本的に打たれ慣れていない魔法学院の貴族の娘には厳しく見えるかも知れん」 「うふふ。ある意味じゃ予想通りね」 ニコニコと微笑んでユーゼスと会話をするカトレア。 会話と言ってもそう大したものではなく、診察の後の世間話程度でしかない。 本当に取るに足らない話題なのだが、しかしカトレアは楽しそうだった。 (……何が面白いのかよく分からんが、まあ構わんか……) 別にカトレアが面白がることが悪いわけではないし、彼女の笑顔を見るのは……まあ、嫌ではない。 そしてユーゼスは、その世間話の新たな題材を持ち出した。 「エレオノールと言えば、昨日の夜は少し苦労させられたな」 「まあ、どうしたんです?」 昨夜に起きた出来事のあらましを話すユーゼス。 その内容を要約すると『昨日は酔っぱらったエレオノールに四苦八苦させられた』となるのだが、それを聞いたカトレアの反応はユーゼスの予想とは異なるものだった。 「…………あら、まあ」 カトレアの周囲にただよっていた空気が、わずかに硬質化する。 なお、因果律の操作だとかエレオノールの頬をうんぬんの部分は隠している。 前者についてはもちろんのこと、後者については『言わない方が良い』とユーゼスの何かが警告していたのだ。 だが……。 「……それで、どうでした? エレオノール姉さまの抱き心地は」 「む? ……いや、私は『抱きつかれた』のであって、決して『抱きついた』わけではないのだが」 逆に言うと、そこ以外の部分は包み隠さずカトレアに話していたのだった。 「そうですか? 手早く振りほどこうと思えばいくらでもやりようはあったのではなくて?」 「下手に力まかせに振りほどいて怪我をさせるわけにもいくまい。ならばひとまず様子を見て抱きつかれたままでいた方が良いと判断した」 「……つまり『振りほどけなかった』ではなく『振りほどかなかった』ということでよろしいのかしら?」 「結果的にはそうなる」 「ふぅん……」 カトレアは興味深そうな目でユーゼスの顔を覗き込んでくる。 ―――この時ユーゼスの脳裏に、何故か昔ウルトラ警備隊の人間に尋問された時の光景が頭をよぎった。 何故だろう。 「それと……一応確認しておきますけど。その後でエレオノール姉さまとは何も無かったんですよね?」 「当然だろう。別に私はやましいことなどは全く考えていないし、何も手出しはしていないぞ」 「あら? 私は別に『やましいこと』だとか『何か手出しをした』なんて一言も口に出した覚えはないんですけど。……ということはユーゼスさん、そういうことに心当たりがあるんですか? エレオノール姉さまを相手にして」 「む……?」 何だか、雲行きが怪しい。 他愛もない世間話のつもりだったのに、いつの間にか自分が問い詰められているような空気になっている。 と言うか普通に『エレオノールのこと』を話すだけならにこやかな会話だったのに、『エレオノールに抱きつかれた』という話になったらどうしてこんな空気になってしまうのか。 (……分からん……) 『女心』という単語の存在すら知らないユーゼス・ゴッツォは首をひねるばかりだった。 しかしカトレアが癇に触ったポイントがどこにあったにせよ、この場は切り抜けなければなるまい。 適当な言葉を並べ立てる、という手もあるにはあるが……ここで嘘をつくのも何やらためらわれると言うか、この女性に対しては嘘をつきたくないような気がする。 「いや……まあ、全くないといえば嘘になるが」 自分でもよく分からない感覚に後押しされ、つい誤魔化すことを選択肢から消してしまうユーゼス。 するとカトレアはにっこりと笑い、まるで出来のよい子供を褒めるような様子で感想を述べた。 「まあ、正直な方」 「……………」 とてもにこやかな笑顔なのだが、妙な圧力を感じてしまうのはどういうことか。 今のカトレアの様子を表す適切な表現が思い浮かばないのだが、強いてその言葉を捜すとするなら……。 笑っているけど、笑っていない。 そんな印象である。 「私、ユーゼスさんのそういうところって嫌いじゃありませんよ。……ええ、本当に」 「……そうか」 よく分からないが、この言葉からしてカトレアは一応ユーゼスのことを肯定してくれているらしい。 ならばそう警戒する必要もないか、とリラックスしようとしたが、その矢先に。 「…………じゃあ正直ついでに、今までエレオノール姉さまとの間にあった出来事を全て話してもらおうかしら」 「何?」 「あら、どうしました? 別にやましいことはないんですから、話すのに不都合はないでしょう?」 笑顔のままで、ずいっとユーゼスに詰め寄るカトレア。 そんなヴァリエール家の次女に気圧されつつも、ユーゼスはどうにか反論を試みた。 「待て、カトレア。『全て話してもらう』と言われても、どこからどこまで話せばいいのか……」 「だから『全て』です。ユーゼスさんの記憶にある限りのことを最初から最後まで。全部。いっさいがっさい。何もかも。包み隠さずに。みんな。……分かります?」 「…………今からそんなことをすれば、終わるのは真夜中になるが」 現在はちょうど日が沈みかけている時刻である。 ユーゼスとしてはそろそろ帰ろうかと考えていた頃だ。 今からカトレアの要望どおりにエレオノールとの間にあった出来事をいちいち口頭で説明すれば、下手をすると夜明けまでかかってもおかしくない。 何せエレオノールに初めて会ってから現在まで八ヶ月も時間が経過している。 その情報量も半端ではない。 「いいんですっ。母さまや父さまには、あらかじめ『今夜はもしかしたらフォンティーヌの屋敷から帰らないかも知れません』って言っておきましたから」 女の口から出る言葉としてはかなり凄いことを言われているのだが、しかしユーゼスはその意味に気付かないまま話を続ける。 「しかし私は日帰りのつもりだったのだが」 「………。別にルイズだって鬼じゃないんですから、たまに帰りが遅くなったくらいでどうこう言ったりはしませんよ、きっと」 「夜更かしは身体に障るぞ。特にお前の場合は」 「ちょっとやそっと夜更かししただけでどうにかなる身体なら、私はとっくの昔に死んでます」 「……………」 「……………」 やや怒ったような目つきでじぃっと銀髪の男を見つめるカトレアと、たじろぎつつも桃髪の女性からの視線を受け止めるユーゼス。 二人は二十数秒ほど無言でそうしていたが、やがてユーゼスの方から確認の質問がいくつか投げかけられた。 「……長くなるぞ」 「構いません」 「聞いていて面白い話でもない」 「それはその話を実際に聞いてから判断します」 「睡眠時間が短くなったせいで後々体調が悪くなっても、私には責任が持てん」 「大丈夫です。これでも昔はルイズと一緒によく夜更かししてましたから」 「……やれやれ」 ユーゼスは根負けしたように溜息をつく。 そしてカトレアの要望に応えるべく、取りあえず昔のことを思い出し……。 「……さて、何から話したものか」 「もちろん一番最初からです」 「……………」 どう足掻いても長くなりそうな予感に辟易するのだった。 前ページ次ページラスボスだった使い魔
https://w.atwiki.jp/sakura398/pages/763.html
<目次> 当ページの趣旨 2007年総裁選 麻生太郎 所見発表演説会 北村弁護士 応援演説 当ページの趣旨 | 当ページでは永久保存すべき名演説を記載いたします。 2007年総裁選 麻生太郎 所見発表演説会 http //www.nicovideo.jp/watch/sm1075630 2007年の自民党総裁選立会演説会 (コメントを非表示にする場合は、右隅のヒヨコマークをクリック) ↓演説全文はこちらをクリック +... 自民党総裁選:麻生太郎氏の所見発表演説(全文) 2007/09/16 麻生太郎です。親愛なる同僚議員の皆さん、また自由民主党党員・党友の皆さん、皆さんを通じて私は敬愛する日本国国民に申し上げたいと存じます。そして世界の人々に私の己の信ずるところを訴えたいと存じます。私が愛する日本は、今立ちすくんでおります。本来、歩みを止めるべきときでない時に、急停止を余儀なくされたという状況にあります。このことを重んじて、私は断腸の思いを駆られます。責任を果たそうとして果たせなかったこの1週間、またこの先1週間、政治の空白に対して責任を感じるところです。国民の皆様に対しましても、心からお詫びを申し上げる次第です。だからこそ、この時間をいただいた、この総裁選選挙に課せられた期待と責任はことのほか大きい、そう思わないではいられません。自由民主党が本当に変わったのか、国民は見ております。開かれた国民政党としてその名に恥じない政党になったのか、国民は瞳を凝らしております。本総裁選挙の意義はまずもってその点にこそあろうと存じます。後世歴史家が振り返る時に、古い自民党と小泉改革以来の新しい自民党との再試合だったとそう記述するに違いないと存じます。どんな結末をもたらすのか、我々に課せられた責務は重大であります。私どもすべて国民の目を強く意識し、政策をもって白黒つける戦いに堂々と挑まねばならないと存じます。私は皆様の前に、政策の選択をお見せしたいと存じます。私が信じる日本人の能力を語ろうと存じます。指導者に求められる資質を述べたいとも存じます。その上で何を選ぶのか、公平無視(無私?)の見方、国益を忘れぬ目を持って選んでいただきたいと、このように思っております。急ごしらえで作った合意は簡単に崩れます。慌ててまとめた多数派も成立のその瞬間から瓦解への方向へ動き出す。我が自由民主党は既にそのことを過去の歴史から学んだはずであります。我が党は長い歴史において、ある結論に達しております。それは指導者を選ぶ時に、国民に広く候補者と政策の選択をお見せして、国民の声を聞きながら選ぶのでなければならないということであろうと存じます。皆さん、今ほど日本が危機に臨んでいて、強い指導者を必要としている時はありません。安定した指導者ではありません。強くて頼りになる指導者こそ必要と致しております。また今ほど日本の農山村、漁村、地域の経済がたった2文字を求めて活動していることはありません。その2文字とは「希望」であります。皆さん、明日に希望を持って目覚め、昼は懸命に働き、夜は感謝とともに床につく、人間の営みとはこの3つが十分にできるなら幸せなのだと存じます。私は日本の若者に希望は大事だと思います。農山村、漁村のおじいちゃん、おばあちゃん、この先そんなに悪くはなりませんよ、きっといいことがあるよ、という希望を感じてもらいたい。私は毎晩、感謝の思いとともに眠りにつけるよう粉骨砕身この身を捧げて参る所存であります。また今ぐらい日本の発する言葉が重みを増している時もないのであります。日本の発する言葉とは煎じ詰めたところ、内閣総理大臣の発する言葉であります。世界がそれに耳を傾けます。日本の環境を守り、治山治水に精を出しいるお父さん、子どものお弁当をつくりそれから働きに出るお母さん、あるいはネットカフェで難民と呼ばれ、そして明日の暮らしを心配する若者に対しても、総理は呼びかけなくてはならんのだと存じます。私は強い言葉を発する総理になりたいと存じます。我が国の進むべき道はこうなんだと、明確な言葉を語れるような総理にもなりたいと存じます。日本という国は素晴らしい国なんだ、頼りになる仲間が、そして尊敬にたる国だと諸外国の指導者に、またその国の国民に思ってもらうことのできる、そういう言葉を発することのできる総理大臣になりたいとも考えております。総理に選ばれました暁には、日本をどんなふうに変えたいのか申し上げます。日本と日本人の底力に私は揺るぎない信頼を置いております。その力を十分に解放すること、それによって力強い成長軌道に今一度日本を乗せることであります。資本経済に息を吹き返させることであります。実力を開放し、持続成長をさせることです。これから具体的な例を内政について3つ、外政についても同じく3つ申し上げさせていただきます。はじめに内政についてであります。内政は将来不安の払しょく、これは目下の状況ではまずは年金の話だと存じます。第2は徹底的な機会の平等、不当な格差は断固潰すということです。第3に経営者の目を持って、新たな経済成長戦略を力強く推し進めるということであります。順にご説明を申し上げます。まずは年金です。支払い漏れが1人もないよう徹底を期します。このため、すべての国民の皆様に年金が確認できるようハガキを送りたいと存じます。社会保険庁、自治体窓口で保険料を横領したとかいう不貞な輩は、年金金銭の高を問わず言語道断の処遇であります。なぜなら、これは制度、この年金制度に寄せる国民の信頼を根底から掘り崩し、ひいては政治それ自体に不信を招いたということにほかならないのであります。私は年金が国民の未来というものを託するに足る、信頼のおける制度に生まれ変わるよう、政権の命を懸けて取り組んで参りたいと思います。加えて年金問題の本当の核心は、ただいま35歳の青年が65歳になったときに安心して暮らせるか、そこに見通しをつけさせてやることです。まずは現行制度に不公平を無くし、次に年金制度の将来設計を考え直す、このことに総力を注ぎ込む所存です。第2は機会の平等です。40歳にもなれば人間は己の顔に責任を持てとよく言われます。危機に及んでどっしり落ち着き、微笑みを絶やさぬ顔、私はこういう顔を国民の皆様に対しお見せすることも指導者の使命であろうと存じます。人間とは目の前の選択肢の中から一つひとつを選んでいき、ついには顔をも自分で作るわけであります。ところがオギャーと生まれた赤ちゃんが、その場所が日本のどこにあるか、生んでくれた両親がどんな両親であるのかは自分で選ぶことはできません。したがって政府が心掛けるべき最も大事な仕事というのは機会の平等を徹底して図るということだろうと確信します。そこから格差の是正という緊急の政策課題が出て参ります。中では農山村、漁村という地を、また企業でいえば中小零細企業、ここに今の日本では強い影が落ちております。農山村、漁村に生まれつき、中小零細企業で働く両親の下に生を受けた子どもが、ただそのことだけで将来に豊かな展望が持てない、そんなことになれば日本は日本ではなくなります。方法はあろうと存じます。例えば地方交付税のあり方を大幅に変えることがその一つだろうと存じます。補助金にしても、地方が自分の工夫を活かして使えるようにしてやる。そういうようなことができるのではないでしょうか。総務大臣として私は国から地方へ、3兆円の税源移譲という大改革をやらせていただきました。全省庁が反対だったと存じます。地方にできることは地方にという構造改革をさらに進めます。危機に追い込まれた時に、人間は2つの反応をとるであろうと思います。助けてくれといって人をあてにする、なにくそと言って自分で活路を開く。中央と地方の関係が今のままですと、地方になにくそという気持ちがなかなか起きません。例を挙げます。能登半島の加賀屋という老舗の旅館があります。ご存じかとは思いますが、交通の便が悪く、だんだんと客足が遠のいていました。しかし仲居さんに英語、中国語を勉強させ、台北や上海からのお客さんを増やして伸びました。この間の地震の被害にも遭われましたが、評判はいささかも衰えておりません。それから北海道旭川にある旭山動物園、私も行きました。今では日本一有名な動物園。あれもなにくそといって活路を開いた一例で、今では上野動物園より集客力は高いんじゃないでしょうか。企業や団体にはこういうことがいくらでもできる。自治体もこれはできるというように思いこませなければならない。別の例を挙げます。半導体、シリコンウエハー、シリコンの板のことです。この板に回路を書きます。普通回路は平面になります。しかし一定の面積の板に回路を平面に並べる微細な技術は限界に来ています。それなら回路を垂直に重ねて書いていけば限界を突破できるんじゃなか、実はこれは世界最先端の技術ですが、日本人の科学者が思いついた独創であります。圧倒的競争力を持つ技術で、我が国は今一度半導体作業の先頭に立つ、そんなことも決して不可能ではありません。申し上げます。日本の底力というものにはとてつもないものがあるんだ、私はそう信じております。そしてそういう技術を持った工場を地方が誘致してはどうでしょうか。大きな工場ではりませんよ。また観光産業なら皆さんを広く、お客さんを広くアジアに求める。エコツーリズムの客を思いきってオーストラリアとかニュージーランドとかという南半球に求める。自治体も頭さえ絞れば、そしてそれを許す財政的支援、裏付け、それに人材、それさえあればできることはいろいろある。私の都市地方間格差の是正政策の根本には、市町村長というものが地域の経営者としての発想を持って、動きやすく、そういう背骨を一本通しております。申し上げますが、そういう話は霞が関から出ません。総理総裁に求められる力というのは、霞が関に信頼されつつ、かつ違うアイデア、違う発想を突破口を示してやることだと思います。それに必要な総裁の能力とは、あらゆる人にこの人と話したい、話を聞いてもらいたい、アイデアを教えてやりたいそう思ってもらうことであろうと思います。そして第3は経営者の目を持って、新たな成長戦略を強く押し進めるということであります。成長促進といいますと、すぐ予算をくれという話になります。これが役人の発想だと思います。何か新しい商売を探したり、仕入れの仕方を変えたりして原価をもっと下げたり、これが経営者の発想です。我が党の政調会長をさせていただいた時でありました。港の通関やら建築申請やらそのために役所に資料を提出しろという法律は数えてみたら5万2100本ありました。それをたった1本の法律を作り、1回でそれもオンラインで手続きが済むようにしました。すさまじい抵抗がありましたが、構造改革とはこういうことをやるのだと思います。日本経済というもののコストを思い切って下げてやる。そして利幅が増えれば、株の配当、また働く人の給料、いわゆる労働分配率、いろんな難しい言葉がありますけれども共に上がる。こういうやり方はあろうと思います。ただし、役所の縦割りを残していてはできません。強い政治指導者がいてはじめて可能なのであろうと存じます。外交に話を移します。3つ申し上げたいのは、第1にインド洋の給油活動、第2に今日本の外交が歴史的転換点にあるということ、第3が拉致の解決であります。インド洋の活動は日本が日本の国益をかけ、自分のためにやっていることです。6年前の9月11日、日本人も24人犠牲になったことを忘れてはなりません。インド洋は日本に油を送るシーレーンの出発点であります。ここをテロリストの勝手気ままにさせてはならない。日本の国益とはその一点に集中していると言っても過言ではありません。これをアメリカのためなどというのは言語道断、もしくは事実誤認も甚だしいと存じます。ヨーロッパの国々が日本を見直したのはこの給油活動です。それからイラクに送られた自衛隊、盗みの一つ、軽犯罪の一つも犯さず見事な規律を示した自衛隊の若い隊員に対し、イギリスやオランダが驚いた。皆さん日本のGDPは世界の10%を占めます。中国、ロシア、韓国を足したよりまだでかい。それにふさわしい貢献を日本は立派にやっている、こう彼らは心の底から得心した。それで今、我が国の外交は大きくその智慧を広げられました。これが第2の点です。欧州諸国と一緒になり、東欧諸国、バルカン諸国で自由と繁栄を延ばしていく、こういう政策ができるようになった。安倍総理はインドの国会演説において、自由と繁栄の弧をつくる政策だと紹介をされました。アメリカとオーストラリアと一緒になってアジアや太平洋の安全にもっと責任を持つということ、そういう政策にもつながった。それらの根も元を正すとインド洋の活動であったのであります。これだけのスケールを持つ活動なのだということを誰かが国民に語り続けなければならないと存じます。私はそれをやってまいる所存です。日米同盟の強化は、こういういろんなルートからもっとできるようになります。第3は拉致の問題の解決であります。私は新潟の海岸に足を運びました。横田めぐみさんが連れ去られたというその場所にも行きました。鈍く曇る日本海を見ましたが、正直涙がにじみました。断固諦めない。私は日本国の主権をかけ、日本の生命を守るという国家にとって最も重要な任務の遂行のため北朝鮮に解決を迫ります。私はパレスチナの若者が日本を待っているのを知っています。ホンジュラスの子どもが青年海外協力隊がこしらえた教科書で算数を学び、学校が好きになったということを、カンボジアの民法を日本の若い女性の法律家が作っておるのです。私たちの誇りとする日本はとてつもない力があるんだ、ぜひ私は自分が愛し、誇りとしてやまぬ日本を、日本人の一人ひとりが誇りとして、そして未来に希望を、活力を求めることができる国になるよう、私の命を懸けて頑張っていきたいと覚悟を決めております。全国の党員・党友ならびに国会議員諸先生の深いご理解をお願い申し上げ、麻生太郎の所見の表明とさせていただきます。長時間のご静聴ありがとうございました。 北村弁護士 応援演説 「マスコミを信用してはいかん!!」 2007 自民党総裁選 熱過ぎる北村弁護士の応援演説 ↓北村弁護士の演説全文はこちらをクリック +... こんにちはー! 私は自民党員でもなければ政治家でもありません。 だから、この自民党がどうなろうが私は関係ない。 しかしながら、麻生太郎が大好きで、日本の国が大好きです。 今、この自民党の総裁というのはイコール日本の首相でしょ? だからこの総裁選は捨て置けない。捨てて置けません。 私から見ると、部外者の私から見ると、この長老の、はやる派閥の領袖と言われる人たちが この麻生太郎に抱いている感情が手に取るようにわかる。 『あの少数派閥の麻生めが、あの麻生がなぜ国民に人気があるんだ。なぜなんだ。 あんな奴に首相になって欲しくない』というジェラシーですよ、これは。あきらかに!なぜかわかりますか? 麻生太郎の話を少しでも聞いたことのある人、たとえば10分以上聞いたことのある人は、 あの具体的で、説得力のあって、熱意があって、この人には力があるとみんな思うんです。 ところがどうだ、今の派閥の領袖といわれる人たち、あの人たちの話を聞いてそう思えますか。 全く僕には思えない。 だから今回の持つ総裁選で、この派閥の領袖といわれる人たちのこの推す候補がこのままエスカレータ式に首相、総裁になって、 そのまま首相になるようであれば私は今後、自民党を批判を続けるつもりだ!自民党はもうなくなった方がいい! こんなやり方で首相が決まって、長老たちのジェラシーで首相が決まるような国であれば、 これはあの民主党、私から見て、この民主党の政策というのは私から見ればですよ、素人の私から見れば、 この自民党政権がかつておかした過ちをそのままやろうとしている。 たとえば農業政策。最も悪政といわれた農家にお金をばら撒くような政策をこれからやろうとしている。 いいですか?日本が国際貢献をしようとしているこのインド洋上の給油についても これを国益、日本の国益を考えずに中断しようとしている。 そんな拙い政党でも、いいですか、そんな拙い民主党でも、 今、この自民党総裁選で麻生太郎が簡単に負けるようであれば、まだあっちの方がいいかもしれないと俺は思っている! どういうことかわかりますか。どういうことかわかりますか。いいですか。 人間の言葉が説得力あるというのはどういうことなんですか。 政治の問題は難しい。だけどその難しいことをわかりやすく具体的に話せる人間ってのはどういう人間なんだ。 その政治の本質をわかっているから、わかりやすく我々に話すことが出来るんですよ。いいですか。 政治の話をわかりやすく出来ない人間ってのは二通りあるんだ。 一つは本音を語ろうとしない人間。 もう一つは頭の悪い人間なんだ。 この二つしかないんだ。 そこが麻生太郎と全く違うところなんです。 もう一つ言わせてもらいます。 私は、例えばですよ、私はお膳立てが全部揃わなければ出ませんと、私はお膳立てが全部揃わなければ出ませんと、 こういう風に言う候補がいたとすれば、これは弁護士の目から見ると非常にプライドの高い男だ。 それはどういうことになるか、いいですか、 この人にもし日本の未来を託した場合、ある局面では国益よりも、国民の生活よりも、自分のプライドを優先するだろう。 そういうもんなんだよ。いいですか。それをわかるかね。私にはわかる。 いいですか、日本の国益を担って、首相として歩むためには強さが必要なんだよ、人間としての強さが。 その為には自分こそ総理に相応しいんだと、自分こそ総理に相応しいんだと、みんなが思って、自分も思って、 それで敢然と立ち向かっていく、そういう人間でなければダメなんだ!それが分かるか! 僕は今回の総裁選を見てて、マスコミもわかってないし、 一般の人ももしかしてわかってないんじゃないかと思ったの。 だからここに来たんですよ。 でも先ほどネットの情報を聞いてみると、実は国民はわかってるらしい。 この間テレビの、テレビのね、ある番組で、まあ政治評論家と称する人はこう言いました。 『秋葉原では大分麻生さんの人気が高いようですね。だけど彼らには投票権はないからな』 こういう皮肉を言っている政治評論家がテレビで喋ってた。 こいつは頭が悪いです。何で頭が悪いか。 いいですか、今この情報化社会においては投票権がなくとも自民党の総裁選にはこれだけ注目が集まっている。 そして国会議員が投票する時に国民の声を全く無視するわけにはいかない。 だから国民の声を無視するわけにいかないから、じゃあ何が起こったんだ。 麻生謀略説。麻生が安倍の足を引っ張ったんだ、こういう謀略説を流したでしょ、最初に。 あれはまさに国民の声を無視できないから、世論操作しようとしたんだよ!それがわかりますか。 こんな短い期間であの麻生謀略説をひっくり返すのは大変なことだ。 まして麻生太郎本人は、非常に品のいい男だ。だから、自分でそうじゃないんだなんてことは言わない。 だから品の悪い私が言ってるんだよ。わかるかね!! いいですか、僕はね、この総裁選で、もう一度言いますよ。 この総裁選で麻生太郎が簡単に負けるようであれば、明日から自民党の悪口を言い続けるんだ! そんな国会議員はみんなやめちまえ! マスコミの人間は、いかに麻生太郎が力があっても、説得力があっても、 一切報道しないよう、しないように、しないようにしてるよ。 これは本当のことだ。 マスコミを信用してはいかん!マスコミに出てくる弁護士が優秀だと思ったら大間違いだ。中には優秀な奴もおるけど。 いいですか、そこでね、私はみなさんにお願いしたい。 馬鹿な国会議員でも、ドアホウな国会議員でも、 麻生太郎が、麻生太郎が首相にならなければ国民から目を背けられてしまう、そう思わせて欲しい。 最後に一点だけ、もう一点だけ、ごめんなさい。 麻生太郎は、失言失言といわれてる、早くやめろと言われてる。 麻生太郎は、失言失言といわれてるがね…、ここをよく考えて下さい。 官僚答弁ばっかりする政治家の話が面白いか? みんなのことを考えて、我々のことを考えて、わかるように話をする、その麻生太郎が俺は大好きなんだ。 今日仙台で、仙台で、麻生太郎さんが掲げたこの紙に、紙にね。こう書いてあったそうです。 四の五の言わずに総理にさせろ!それが私の考えだ。以上。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/960.html
10話 女王アンリエッタが突如王宮から姿を消した。 警護をしていた衛兵を蹴散らし馬で駆け去ったのだ。ただちに王宮内にはかん口令がしかれ、出入りの業者から陳情に来ていた 地方貴族に至るまですべて留め置かれた。進入した形跡が皆無なことから、内部に協力者がいることは確実であったからだ。 結果、高等法院のリッシュモン長官が逮捕された。女王が消えてからわずか5分後の、超スピード逮捕だった。 「なにこれ?待ち構えてたよね?」 女王誘拐の報が入るとほぼ同時に突入してきた憲兵隊に組み伏せられながら、リッシュモンが叫んだ言葉である。実際憲兵隊は ドアの外から窓の外、たんすや机の下、ベッドの脇にまで隠れていた。これは気づかなかったリッシュモンの落ち度であろう。 その後、あっという間に腕を切り落とされたリッシュモンはピーピー泣きながら今回の事件について告白をした。だが、憲兵隊が聞き たかったのはトリステイン内部にいるアルビオンへの協力者、内通者であったため右目まで失うはめになった。酷い。 リッシュモンの供述に基づき、ただちに強襲したのは新設された銃士隊であった。逃げる暇など当然存在せず、スパイ網は一夜に して壊滅した。 それらの報告を聞きながら生きたここちがしていなかったのはマザリーニ枢機卿である。孔明の、 「女王は本日、お忍びで外出されます。これを機会に敵間諜を一網打尽にしようではないですか。」 という進言を聞き入れた結果がこの逮捕劇である。最終的には貴族28名を含む107名が獄に繋がれるという語り継がれる事件となっ た。 最初はアンリエッタの外出とは何事だろうと思っていた。やがて誘拐騒ぎが起きた。孔明の手による狂言だと思っていたが、入って くる情報はアンリエッタ女王は本当に誘拐されたらしい、ということばかり。 なぜ孔明はこの事件が起こることを知っていたのだ。女王様を囮に使うとはなにごとか、と憤ると同時にそれ以上に恐怖を感じてい た。なぜならば、知っていたということは防ごうと思えば防げたわけである。ところがそれを行わぬばかりか、あえて囮に使った。これ はすなわち、孔明にとってアンリエッタ王女はその程度の価値しかない人間である、ということを意味する。 ひょっとすると孔明は神聖アルビオン以外の国の回し者では?それならば神聖アルビオンのスパイ網をバラバラにした理由もわか る。現実に孔明はアンリエッタ王女誘拐犯の追撃を出すこと、一切まかり通らぬときつく厳命している。疑わぬ理由はない。 だがその孔明は今宮殿にはいない。今日は出仕する日ではないからだ。 念のためリッシュモンに孔明との関係を詰問する。首を振って何もないと泣くリッシュモン。見るも哀れな姿に、正視に堪えずすぐに 牢獄から逃げ出すようにマザリーニは立ち去る。 よく考えれば孔明ほどの人材をわざわざ他国にやる国はない気がする。これほどの人物、自国で使ったほうがよいに決まっている。 考えれば考えるほど、孔明の正体がわからなくなるマザリーニであった。 「ようこそお越しくださいました。」 誘拐されたアンリエッタを乗せた馬が走ること2時間あまり。たどり着いた先で彼女を出迎えたのは、年のころ30代半ばの聖職者の 格好をした男であった。快活な、澄んだ声をした男だ。 「…っ!あ、あなたは!?」 そう、出迎えたのは紛れも泣く神聖アルビオン国皇帝、オリヴァー・クロムウェルその人であった。周囲には警護らしい大男と、数名 の護衛兵がいる。 「ウェールズさま、これは……いったい……」 自分を抱きかかえた誘拐犯へ、何が起こっているのか信じられないといった視線を向けるアンリエッタ。そう、アンリエッタを誘拐した 犯人は、紛れもなくアルビオン国皇太子ウェールズ王子であった。 「昨晩言ったじゃないか。国内にいるぼくの協力者だよ。」 にこにことアンリエッタに蕩けるような笑顔を向けるウェールズ。ついその笑顔に見とれてしまうアンリエッタ。 「ぼくはあの戦いで気づいたんだ。彼らレコン・キスタの思想こそ、われわれにふさわしいものだって。だからぼくと彼は友人になったん だ。」 「でも……、でも、こんな……」 横からクロムウェルが口を挟む 「驚き驚愕致し方ない汝姫君。私と彼は、あの戦いであらゆる垣根を超越千万、友人となったのです。皇太子は、私にハルケギニア 統一の手助けをしてくれると約束してくれました。」 クロムウェルの言葉を受けてウェールズが頷く。 「その通りなんだ。だから、ぜひアンリエッタにも協力して欲しいんだ。」 「わたし、わからないわ。何がなんだか…。なにをしようとしているのか。」 どこまでも優しい言葉でウェールズは告げた。 「わからなくていいよ。ただ、きみはあの誓いの言葉通り、行動すればいいんだ。覚えているだろう?水の精霊の前で、きみが口にし た誓約の言葉を。」 「我はそのような誓約など知らぬぞ。」 突然2人の間に割り込む冷たい声。何事か、と全員がそちらの方向へと振り向いた。 声のした方向の木々がなぎ倒され、巨大な鉄のゴーレムが姿を現した。 身の丈数十メイル。丸太のような太い腕、ドラム缶のような胴体。そして空に浮かぶ三日月のような頭部。 そう、3つのしもべのひとつ、ポセイドンだ。 右手に巨大なビンを持っている。声はそこからしたらしい。 「我はそのようなまがい物との誓約など聞き覚えはないぞ。なあ、命の鐘よ。」 巨大なビンの中に人影が現れた。輝く宝石のような姿。すなわち水の精霊だ。ついてきたのかよ。 「否!?否否否否否否否ぁっ!?」 命の鐘と呼ばれ、クロムウェルが激しく動揺する。目がぐるぐると動き回り、赤みを帯びている。 「あれが、命の鐘とやらを使いすぎた後遺症か。」 ポセイドンの肩の上にバビル2世が現れた。風を受けて学生服と髪がたなびく。 「左様じゃ。あれはあらゆる生命を操る代わりに、使用者の魂を食らっていく魔性の鐘。やがてあの単なるものは心と身体を鐘に食い 尽くされ、その一部になる。命の鐘を扱えるは、同じく命の概念を持たぬ精霊か、あるいは命の鐘自身のみ。」 「曰く水精霊如何に参上!?貴様が如きは明鏡止水東方烈火!?思えば不戦は墨子が大儀!」 すでに言語になっていない雄叫びを上げるクロムウェル。その顔はすでにクロムウェル自身のものから、別人へと変貌しつつある。 「もはやあの単なるものは限界。あとは命の鐘に食われるのを待つのみ。だが、あちらの単なるものの蘇生体は、命の鐘ある限り 存在し続ける。単なるものが食らい尽くされようとも、意思をもって動き続けるだろう。」 「つまり、あの偽者は、クロムウェルが死のうと消えぬということですか?」 バビル2世の背後から、キセルを咥えた覆面男、白昼の残月が現れた。 水の精霊が肯定の意を示す。 「どのようにすれば、消える?」 「単純だ、乳房を好む単なるものよ。ふたたび命を奪えばよい。」 「なにかいま余計な修飾語がついていたような気がしますが、了承しました!」 残月が針を雨霰と放った。何百本もの針が、ウェールズを貫く。だが、ウェールズは倒れない。それどころか傷痕があっという間に 塞がっていくではないか。 「なにっ!?」 「無駄だよ。きみたちの攻撃では、ぼくを傷つけることはできない。」 その攻撃を見て、アンリエッタの表情が変わった。 「見たでしょう!それは王子ではないわ!別の何かなのよ、姫様さま」 ルイズたちがバビル2世とは逆の肩の上に現れた。 「お願いよ、ルイズ。杖を収めてちょうだい。わたしたちを行かせてちょうだい。」 「姫様!?」 アンリエッタはにっこりと笑った。 「そんなことは知ってるわ。でも、それでもかまわない。わたしにとってウェールズさまは最愛の人。全てなの。たとえ人でなくなろう とも、そんなことは関係ないわ。愛しているのよ!だから行かせてルイズ。」 ぐはぁ、と残月が大きく仰け反った。 「ぅう……まるで胸を剣で突き刺されたような痛み。おそるべき魔法!」 「魔法じゃないだろう。」 バビル2世が呆れたような声で言う。どう考えても引け目や懺悔の気持ちです。少しは悔い改めなさい。 「しかし、アンリエッタも胸が大きくなりましたな。うーむ……早まったでしょうか。」 ブツブツと査定をおこなう残月に、もはや突っ込む気力すらないバビル2世。 「ところで、アンリエッタが愛しているのがあちらのウェールズならば、ここでそれを眺めている私は、一体全体何者なのでしょうか?」 「乳房好きの単なるものよ。誰が粗忽長屋をしろと言ったのだ。」 さすがに水の精霊があきれ果てて言う。 「あの蘇生した単なるものは、命の鐘を扱っている単なるものが食われるか、死ぬまでは存在するはずだ。」 水の精霊の言葉を受けて、バビル2世はクロムウェルと偽ウェールズを交互に見やる。 「なるほど。では優先すべきは命の鐘、ということだな。残月、本物の皇太子なら、偽者から姫を救い出してやっちゃあどうだい?」 「心得ました!たしかにあの乳は魅力!私に奪還はお任せください!」 バビル2世と残月がポセイドンから飛び降りた。そのとき―― 「うわあ!」 突如襲い掛かってきた赤い突風をまともに食らって、バビル2世がポセイドンに叩きつけられた。ポセイドンも身体をよろめかせる。 「何者だ!?」 突風のやってきた方向を見る残月。その目に飛び込んできたのは… 「ふん。アンリエッタを見張っていた甲斐があったというものだ。」 ハートマークの髪形をした、モノクルの男だ。 「アンリエッタが何者かに連れられて出て行くので、もしやと思い後をつけたかいがあったな。」 恰幅のいい老人が後ろから続いて現れる。 バビル2世がくるくると回転しながら地面に降りたった。 「むう。あやつらは…」 残月がうなり声をあげる。 「知っているのか、残月。」 バビル2世の言葉に残月が頷いた。 「タルブの村の戦いにいた、アルビオン側の傭兵です。お気をつけください。あのモノクルの男、奇妙な魔法を使いますぞ!」 「ではアルビオンの味方か?」 バビル2世の問いに、モノクルの男が首を横に振って答えた。 「否。断じて、否。我々はバビル2世、貴様に用があって来たのだ。」 「左様。我々の中に生じたエラーの原因を知るためにな。」 「バビル2世だと?」 むっと、バビル2世が二人を睨みつける。 「ではヨミの部下か?」 モノクル男が咥えていたなにかを地面にはき捨てた。 「それも違うな。」 「我らは地球監視者」 「「危険な人類を宇宙から抹消するために送り込まれたものだ!」」 1人は大地を蹴り、1人は大きく飛び上がり、バビル2世に襲い掛かった。 「ビッグ・ファイアさま!」 残月が叫び声をあげ、救援に向かおうとした。 「待て、残月!」 同時に襲い掛かってきた地球監視者の攻撃を何とか避けて叫ぶバビル2世。 「いまはクロムウェル優先だ!ぼくがこの2人を抑えている間に、はやくクロムウェルを倒すんだ。」 急ブレーキをかける残月。バビル2世とクロムウェルを何度か交互に見返し、覚悟を決めてクロムウェルに襲い掛かった。 「クロムウェルはすぐに始末します!それまで持ちこたえてください、ビッグ・ファイア様!」 だが、水の壁が行く手を阻む。慌てて水を駆け上がり着地する残月。 「あの男が死ねば、ウェールズ様も死ぬというのならば……指一本触れさせません。」 杖を握ったアンリエッタが、震えながら立ちすくんでいた。 自業自得、という言葉が残月の脳裏をよぎった。 「ぐわあ!」 モノクルの男、No.3と呼ばれている男の腕から放たれた赤い旋風・衝撃波をまともに食らって地面に転がるバビル2世。 転がった先の地面が地割れを起こし、バビル2世を飲み込もうとする。 腕の力で跳ね起き、それをかわすバビル2世。だがかわした先に即座に衝撃波が飛んでくる。 「なんて威力だ。吸収しきれない。」 衝撃波を2つ3つまともに食らいながら、なんとか木の上に飛び乗ったバビル2世が呟く。その言葉を聞いてNo.3が不敵に笑う。 「どうした。それでも最強の超能力者か。」 「わしの念動力と、No.3の衝撃波能力。ともに貴様をはるかに凌駕しておる。」 No.1が腕組みをして、バビル2世の横の木に飛び乗る。 「「そして2対1。今の貴様に勝ち目はないぞ!」」 高らかにハモる二人の地球監視者。そしてNo.3が両腕を突き出した。 「最大パワーの衝撃波で、この世界から完全に消えうせろ、エラー原因よ!」 「――だが、それは少し卑怯じゃないかね?」 No.3の耳元で何者かが囁く。穏やかで、優しい声だ。 「なにやつ!?」 振り返らんとするNo.3の腕をマントが包みこむ。狙いを外された衝撃波が、空の彼方へと消え去った。 「この幻惑のセルバンテス、ビッグ・ファイア様に助太刀しようではないか。」 セルバンテスは、マントを引き裂き飛び退いたNo.3へと、優雅に会釈をして言った。 「変態仮面さん。そっちをひきつけておいてね」 タバサとキュルケが呪文を詠唱しながらアルビオン側の裏手から飛び出した。 アンリエッタが残月に気をとられた間隙をついたのだ。目的はもちろんクロムウェルだ。 「あれを倒せばいいんだから、楽なものよね」 そんなキュルケを横目に、残月は 「あの乳も捨てがたい。が、やはり清純に反比例する魅力の固まり、というものがベストだな!」 などというあほなことを一瞬考えた。 「ワルキューレ!」 ギーシュがワルキューレを召喚した。ワルドを葬った灼熱のワルキューレだ。 たとえ水の壁がきても、これを盾に強行突破する腹積もりだ。上手く行けばクロムウェルに飛び掛ることもできるだろう。 「しまった!」 ウェールズが叫び、杖を振り上げた。だがもう間に合わない。この距離では飛び掛るほうが先だ。 そう、誰も判断したとき、クロムウェルに異変が起きた。 目が完全に真っ赤になり、全身が膨れ上がった。そして鐘を取り出し、意味不明の呪文を唱える。 その途端、ワルキューレが光の粒子となってボロボロと崩れ落ちていくではないか。あっというまに全てのワルキューレは、虚空へ と消えてしまう。 「命の鐘を英雄本職!玩具で遊ぶは笑止千万! 我に楯突く向かうが者共!所業を背負えば現世に還る!聞けぃ!盛者必衰!! 命の鐘の響きあり!!」 巨人が、現れたのだった。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5093.html
前ページ次ページゼロのエルクゥ ニューカッスル城の決戦は、数時間の戦いとも言えぬ戦いの後、王党派の勝利で幕を閉じた。 まさに、始祖ブリミルのお導きとしか言えない、思いもかけずもたらされた勝利に、王党派軍の貴族達は狂喜の歌を歌いながらニューカッスルに凱旋したのだった。 「すると、ヴァリエール嬢は彼女らに連れられていったというのだね?」 「はい。同じ学院の制服を着ていましたし、正直、今以上の治療は、ここでは無理でしたもので……」 「いや、いいよ。このままここに置いておくよりは安全だろうからね。ご苦労だった。水メイジの皆には、ゆっくり休んでくれるよう伝えてくれ」 「は、はいっ。失礼しますっ」 負傷したルイズの世話係につけておいた水のラインメイジの女性の報告を聞いて、ウェールズは静かに胸を撫で下ろした。 先の吶喊に失敗した場合、非戦闘員を乗せて脱出するマリー・ガラント号に同乗させる予定だった。 これ以上ない勝利を収めた今、とりあえず脱出船を出す必要はなくなったが、まだ内乱が終わったわけではない。彼自身の心情としては、ルイズ一人だけでも乗せて送り返したいところだったが……状況がそれを許さなかった。 王党派唯一の艦船だったイーグル号を焼き討ち船にしてしまったので、マリー・ガラント号を手放すわけにはいかないのだ。 女性メイジの報告は、言い方は悪いが―――渡りに船、というところだった。 ちなみに、マリー・ガラント号とその船員は、王党派に雇われる形になっていた。首都の王城、ハヴィランド宮殿が陥落する際に持ち出した財宝は、硫黄の代金を補って余りあった。 「さて、頭を失った彼らがどう出るか……」 「人形が影武者でなければよいのですがなぁ」 「祝宴中に不吉な事を言わないでくれよ、パリー」 出陣前の最後の晩餐であったパーティの用意は、勝利を祝う宴へと看板を替え、盛大に実施されていた。 勝利の熱狂に酒精が振る舞われる中、伝令の兵士が息を急ききってその場に飛び込んでくる。 「ほ、報告致します! レコン・キスタ軍旗艦『レキシントン』号、サー・ヘンリ・ポーウッド艦長より入電! 『我ら『レキシントン』以下、レコン・キスタ艦隊全艦艇、王党派に降伏の意を示す』『レキシントン』号は砲門を閉じ、白旗を掲げています!」 「しゅ、首都ロンディニウムよりの風竜便!? 『我ら裏切りの事実無し。陛下に変わらぬ忠誠を』!?」 「シティオブサウスゴータからの報告!」 「こちらはロサイスからです!」 そして、勝利に沸くニューカッスル城に次々ともたらされる報告は……2年に渡るアルビオン内乱の終結を意味していた。 「それらの報告、間違いないのだね?」 「はっ! ロンディニウムに置かれていたレコン・キスタ首脳部は高官がすべて原因不明で気絶し機能を喪失。シティオブサウスゴータ、ヤーマス、ロサイス、スカボロー、ハリッジ、ハートルプール等、各主要都市も同じ状況のようで、次々と恭順の意を示してきています」 祝宴から一転、緊急の軍議が開かれる。舞い込む報告の山に、居並ぶ貴族達は微妙な表情をしていた。 反乱軍総司令官オリヴァー=クロムウェル討たれるの報が島中を駆け巡ると同時に、各都市、各艦に待機していた司令官達がばたばたと倒れたというのだ。 「……パリー。偽りの白旗である可能性は?」 「低いでしょうな。負けた場合に仕込んでおいた、と考えられなくもないですが……此度の戦いにすらそんな場合を想定しておくような策謀を持つ軍師がレコン・キスタにいるのならば、自分らはとっくの昔に始祖の元に召されておるか、叛徒どもを蹴散らしておる事でしょう」 「違いない」 そしてロンディニウムに使者を送れば、報告が事実であったのみならず、さらに異常な事が次々と発覚する。 その気絶した高官達全てが、内乱の蜂起時からのメンバーや、ここ一番という戦いで貴族派に寝返った将であり……そして、目覚めた時にはそれらの事を覚えておらず、ある一定の時からの記憶がないと言うのだ。 それは例外なく、彼らがクロムウェルと対面した時からであった。 蜂起時のメンバーである一人の領主などは、自らの記憶から2年が経っていると聞いて冗談を言うなと笑い飛ばし、その後に成長した娘の姿を見て驚愕の余りもう一度気を失ったという。 何らかの精神操作の術で、この反乱は『起こされた』のだ。 「……そういうカラクリか。ガリア王ジョゼフ、なんと卑劣な……!」 「アルビオン騎士の精強さ、教育してやる必要がありそうですな」 「ああ!」 クロムウェルのスキルニル、その最後の言葉を聞いていたウェールズはそう結論付け、それらの証言を全て信用し、咎めをなしにするという英断を下した。 それにより、アルビオンの内乱は速やかに収まっていったのだった。 § ガリア王国とトリステイン王国の国境にその水を湛えるラグドリアン湖の畔には、二つの家が存在する。 一つはトリステイン側、先代までラグドリアン湖に住む水の精霊と王家との交渉役を任されていたモンモランシ家がある。失態を犯した今はその役から外され、湖畔部だけは別の家の土地となってしまっているが、国替えとまでは至らなかった。 そしてガリア側は、ガリア王家の直轄領となっていた。畔から少し離れた森の中、世を忍ぶようにひっそりと、一つの屋敷が建っている。 掲げる家門は、交差した二本の杖。ガリア王家の紋章である。 しかしその紋章には、赤くバツの字が描かれていた。不名誉印と言い、王族でありながら、相続権を失った証であった。 「失礼、ここはオルレアン王弟家でよろしかったでしょうか?」 「……その通りですが。失礼ながら、どなた様でしたかな」 その屋敷の門を訪問者が叩くのは、非常に珍しい事であった。 緑色の司祭服に身を包んだ、冴えない中年の司教といった風情の男だった。この屋敷に唯一仕える従僕の老人は、怪訝な顔を隠せないままに応対する。 「オリヴァー・クロムウェルと申すしがない司教です。……サイト・ヒラガ殿の使いにより参りました」 司教が答えると、老執事が目を剥いた。 瞬時に、彼から言い含められていた言葉を思い出す。 「……『えいちえむえっくすとぅえるぶ』とは?」 「『まるち』……でよろしかったですかな」 老執事の口にした暗号のような問いに、司教―――クロムウェルが答えると、老執事は喜色を満面に浮かべた。 「おお、おお! それは確かにサイト様が残した合言葉! 大変失礼致しました。私、この家に仕える執事、ペルスランと申します。不明をお許しください」 「事情は概ね聞いております。気にしてはおりませぬ」 一礼し、門をくぐるクロムウェルの右手には、深い藍色の石を載せた指輪が静かに光を湛えていた。 § 「サイト!? あんた、アルビオンに行ってたはずじゃ……?」 「ちと野暮用でね」 ガリア王国の王城、ヴェルサルテイル宮殿は、王国首都リュティスの郊外に位置する。 今も各地から集められた職人達の手によって拡張を続けているその宮殿の中心、青いレンガで作られた巨大な王城『グラン・トロワ』が、王の居城である。 そして、そのヴェルサルテイル宮殿の端。桃色のレンガで作られた離宮『プチ・トロワ』の主、王女イザベラは、座っていた椅子の裏に突然現れた訪問者に目を丸くした後、どこか安堵したかのようにその表情を緩めた。 「はン、私に会いにくるのが野暮だってのかい? 使い魔サマは随分と偉くなったもんだねえ」 「そ、そういうわけじゃねえよ」 王女の座る謁見用の椅子の裏に出現した怪しいローブ姿の男を見ても、傍付きの侍女は驚く素振りも見せなかった。 いや、それどころか……男に向かってツンとした態度を取る王女に、どこか微笑ましいものを見るように―――例えるならそれは、初々しく手を繋いで頬を染め合う学生カップルを見かけた時のような―――顔を綻ばせてさえいる。 「それで? ホントにただ会いに来ただけって訳じゃないんだろ?」 「ああ。実はな―――」 ―――ローブ姿の彼、サイト・ヒラガ……日本人、平賀才人がこのハルケギニアに召喚されたのは、今から4年か、5年ほど前の事になる。 § その日才人は、両親と温泉旅行に出かけていた。まだ元気印の中学生だった彼はその名前まで知らなかったが、北陸地方のどこかだったとはおぼろげに覚えている。 温泉街の中心にあるとんでもなく大きなホテルにチェックインし、その豪奢さに目を輝かせながら、さて観光地巡りだと街に繰り出す。 そして、お土産選びに夢中の両親から少し離れ、自動販売機でジュースを買おうとした時だった。 手を滑らせて、お金を落としてしまう。そのまま、ころころと転がっていく100円硬貨。 中学生にとって、自由に使える100円はとても貴重である。 いつもはケチんぼな両親も旅行となればさすがに財布の紐は緩くなるのか、才人は特別にお小遣いを貰ってはいたが、だからといって目の前で100円がなくなるのを黙って見ているほど才人はセレブな感性を持ち合わせていなかった。 才人は、転がっていく100円玉を慌てて追いかける。その時だった。 「あらあら。はい、どうぞ」 と、自らの足元に転がってきた硬貨を拾い上げ、才人に差し出してくる人影。 「…………」 才人は、思わず見とれてしまった。それが、とんでもなく綺麗なお姉さんだったからだ。 才人より少し年上の、高校生ぐらいだろうか。整った顔立ちは薄く微笑みを浮かべ、まっすぐに伸ばされた鴉の濡れ羽色の髪がセーラー服の襟に掛かって、そよそよと風に揺れている。 「あれ、あなたのじゃなかったかしら?」 「あ、は、はいっ。お、俺のっす!」 慌ててその手から100円玉を受け取った。真っ白で綺麗な指が微かに触れて、才人の心臓は大きく跳ね上がった。 「ど、どうもありがとうございましたっ!」 「うふふ。元気な子ね。はい、どういたしまして」 にっこり、と笑いかけてくれる。 かーっと顔が熱くなった。才人は恥ずかしくて地面を向いてしまう。 「千鶴姉ーっ。何してんのさーっ」 「ああ、今行くわよ梓。それじゃあね」 ばいばい、とそのお姉さんは才人に向かって軽く手を振り、妹達なのだろうか、近くにいた彼女より歳下らしい女の子達の輪に戻っていく。 顔を上げ、ぎこちなく手を振り返しながらぼーっとそれを見ていた才人だったが、次の瞬間、その顔が驚きに歪んだ。 お姉さんの歩いていく先に、突然、光り輝く大きな鏡のようなものが現れたのだ。 向こうに歩いていきながらこちらに向かって手を振っているお姉さんは、それに気付かない。 「お姉さん、危ないっ!」 「えっ!?」 才人は、考える前に飛び出していた。 どんっ、とお姉さんを横に突き飛ばし、謎の物体との衝突を避けた―――まではよかった。 「うわわわわわわっ!?」 問題は、考えなしに飛び出したためにその勢いを殺しきれず、才人自らがその物体に突進してしまった事であった。 来るべき衝突の衝撃に目を閉じる才人。だがそれは訪れなかった。 あれ? と首を傾げて目を開けた時、視界に入ってきたのは、その鏡がまるでスライムか何かのようにてろりとその形を変え、才人を中に飲み込もうとするところだった。 辺りが真っ白な光に包まれ、いつの間にか気が遠くなっていき……。 「ほう。貴様が俺の運命とやらか」 「へ? へ?」 気が付いたら、まるでドラクエかFFかというような大広間の玉座に、王様が座っていた。 いや、服装こそ王様でおっさんだけど、顔はなんだか……タチの悪い近所のガキ大将みたいだ、と、混乱する頭で才人は思った。 ……そのすぐ後、そのおっさんに無理矢理ファーストキスを奪われてしまったのは、恐らく才人にとって一生のトラウマだ。 そして、その悪夢のようなマウストゥマウスから解放された直後、才人の頭に割れるような痛みが走る。 息も絶え絶えにそれが収まった時―――彼は、神の頭脳を得たのだった。 § 「―――まあそんなわけでね。その変な怪物のせいでアルビオンが負けちゃったんで、帰ってきたトコ」 「そうか。まあ、お父様の思う通りに事が運ばなくって良かったってぇところだが」 アルビオンで自らが行っていた事について話し終わった才人は、やれやれと肩を竦めた。 「一応仕込みはしといたから、すぐに元に戻ると思うけど……」 「しばらく混乱は免れないだろうな。わかった、それはこっちでなんとかしておくよ。その怪物ってのも調べとこう」 「ああ。ありがとう、イザベラ」 「フン。とってつけたような礼なんて言うんじゃないよ、気持ち悪い」 ぷいっと顔を背ける蒼い髪の少女の頬は、微かに赤くなっている。侍女達の含み笑いが少しだけ強くなった。 「……なあ、サイト」 「なんだ?」 「何とか、なりそうなのか?」 「ああ、何とかしてみせるさ。この間いいものも見つけたしな」 「そう、か……」 二人以外にはわからない、秘め事めいた会話を交わすと、イザベラは表情を曇らせて俯いてしまう。 「俺に任せなって。タバサの母さんの方は何とかなったんだ。絶対、あいつを元の優しいお父さんに戻してやるからさ。な?」 「うん……」 「ははっ。いつもそうやって神妙にしてりゃ可愛いのに」 「……っ! 馬鹿ばっか言ってないで、用が済んだらさっさと行きなッ!」 「おう。じゃあなー」 笑いながらフードを目深に被ると、サイトは風景に溶けるようにして消えてしまった。 「……ったく、あいつは……っ!」 腹立たしげに椅子に座り直したイザベラの表情がどこか嬉しそうだったのは、侍女達だけの秘密である。 § 「……貸し出せし秘宝、確かに返してもらった」 「精霊のお慈悲に感謝致します」 「よい、単なる者よ。『サイト』『クロムウェル』のお前達二個体は、我との約束を守った。我がそれに応えるのは当然の事」 ラグドリアン湖の水面からにょっきりと人の形―――それは、サイトにそっくりの、全裸の少年姿だった―――に生えていた水が、その手の中に乗せられた藍色の指輪と共に、ちゅぽん、と水の中に沈むように消え去っていった。 それは、水の精霊と呼ばれる、古き水の魔法の力を今に伝える全能の存在であった。 「やァれやれ。これで一仕事終了、だな」 「地下水君は、どうするんだい?」 湖畔に跪いていた緑色の司教服を来た男、クロムウェルが立ち上がり、膝についた砂を軽く払った。 その手に持たれた短剣から、気だるそうな声が聞こえてくる。 「あいつも言ってただろ? 適当なチンピラにでも渡してくれれば、勝手に帰るさ。ったくめんどくせぇ。なぁにが、『きちんと仕事してる人を操ったらその人の家族が心配するから、取り付く奴は選べ』だ」 「はは。でも、その通りだと思うよ。急に人が変わったり、どこかに行ったりしてしまったら、本人も周囲の人も困ってしまうからね」 空を見上げる。ラグドリアン湖は、今日も変わらず、その風光を明媚に保っていた。 「サイトくん、どうか無事に生きてくれよ」 すっかり忘れてしまっていた始祖に対する祈りの礼式を思い出し、湖に向かってそれを行うと、クロムウェルは静かにその場を立ち去っていった。 § 「それは事実なのですね? ユーヤ」 「ああ。間違いはない」 その部屋は、まるで図書室か、魔法アカデミーの研究員の部屋のようであった。 様々な本や書類の類が、机や床にまで雑然と詰まれている。一目見せられただけでは、とてもここが―――宗教皇国ロマリアの中心部、ロマリア大聖堂の教皇謁見室だとは思わないだろう。 「俺以外のエルクゥが、この世界に現れた」 部屋に立つ二人の男のうち、ユーヤと呼ばれた、ハルケギニアではあまりに奇妙な服―――それは、彼の世界では背広と呼ばれるフォーマルスーツである―――を着た黒髪の、がっしりとした体つきをした男は、静かに言い放った。 「そうですか……虚無が、胎動し始めたのですね」 「お前が言うのなら、そうなのだろうな」 もう一人、こちらはどこか線の細い印象を受ける、流れるような金の髪を長く伸ばした男だった。 彼―――ロマリア宗教庁教皇、聖エイジス三十二世、ヴィットーリオ・セレヴァレは、手に本を広げ、薄く微笑みを浮かべたまま、男の話を聞いている。 「あなたは、どうするのですか? ユーヤ」 「……どうもしない。お前が決めた事に従おう」 「良いのですか? 同じ世界の、仲間なのでしょう?」 「顔を少々見知っているだけさ。一方的にな。それに―――」 黒髪の男―――柳川裕也は、不思議な紋様の刻まれた右手を掲げ、自嘲気味に笑う。 「―――どうせ、お前に拾われなければ、エルクゥに押し潰されていた存在だ。お前の好きに使うといい」 ゆっくりと、その右手の紋様が光を放ち、明滅する。それは―――彼の体内の猛獣が、完璧に制御されている事を示していた。 「わかりました。ありがとうございます」 ヴィットーリオは、静かな―――人が浮かべるにしては静か過ぎる、どこか狂気さえ感じられる微笑みを、崩さないままだった。 「きょ、教皇猊下! ほ、報告致します!」 「それほど慌てて、どうかしたのですか。落ち着きなさい」 そこに、息せき切った様子で、純白の鎧に身を包んだ聖堂騎士が飛び込んできた。 「せ、"聖地"への密偵からの急便です! "聖地"に、巨大な山が現れた、と!」 ―――教皇の微笑みが、微かに深くなった。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2382.html
前のページを読み直す / 表紙へ戻る / さらにページをめくる 《『王宮日誌 シャルロット秘書録』より》 私たちが『人質』という事になって、幾日も経った。 しかし、トリステインからの救い手は一向に現れず、こちらとしては感覚共有できる『シルフィード』を介しての定期連絡 ―――彼女が喋れることは隠しているので、質疑へのイエス・ノーや無事の確認程度だが――― 以外は何をするでもない、暇な時間を過ごしていた。 出歩く自由がない以外は、衣食住の心配も、身の危険を案ずる心配もない。 アルビオン国王ジェームズ1世は、トラクスの手にかかり討ち死に。 ウェールズ皇太子は、私のシルフィードに乗ってトリステインへ亡命。 主なきニューカッスル城の将兵はよく総攻撃に耐え、奮戦したが、ついに落城した。 非戦闘員は脱出できたが、それ以外は運命に委ねられた。 彼らの絶望的な戦いも話題となったが、やはり将兵たちの間に上る名は『蛮人トラクス』。 素性も知れぬ流れ者の、剣の達人。 勇猛で誇り高く、残酷なるスキタイ人。 国王殺し。 美しい女メイジと共に戦う、無敵の戦士。 魔法を喰らい、五月蝿く喋る魔剣を振るう兇漢。 投石器で人を砕き、鉄の弓を引く超人。 そして、伝説の使い魔『ガンダールヴ』。 デルフリンガーやフーケ、将兵や捕虜から流れる話は尾鰭がつき、拡大する。 人の血肉を喰らい、腕が四本ある。 牙の並ぶ口が耳まで裂け、額に二本の角がある。 恐るべきエルフだ。 背中に皮翼があり、空を飛ぶ。 炎と黒煙を吐く巨漢で、トロール鬼を従えている。 身長が30メイルもある。 女メイジが口だけで笑いながら走っているのを見た。 ……意味のわからない噂もあるが、畏怖と憧れが二人には付きまとうようになった。 無論、蛮人如きと見下し、戦いを挑む命知らずな輩もいるらしいが……。 トラクスとフーケは、ひとまず『ナイト(騎士)』に叙勲された。ガリアやトリステインの『シュヴァリエ』に当たる。 彼らを連れて来たユリシーズも、褒賞にあずかったらしい。 近々、クロムウェルたちはトリステインへ侵攻する予定だとも、伝え聞いた。 アルビオンの首都、ロンディニウムにあるハヴィランド宮殿の一室にて。二人と一本に来客があった。 「やあサー・トラクス、デイム・マチルダ。傷はもうよろしいのかな?」 クロムウェルだ。先頃国名を『神聖アルビオン共和国』に変え、自ら『神聖皇帝』と名乗った。 始祖ブリミルの降臨した、東の『聖地』をエルフから奪還し、ハルケギニアを統一すると宣言してだ。 フーケは胡散臭そうな顔をするが、すぐ笑顔で返答する。 「ええ、陛下。トラクスは瞼と白目が切れただけで、水の秘薬を使ったらすぐ治りましたよ。 疲労が激しかったようですが、魔剣を持たせておくと回復も早くて」 「それは重畳。なにしろ我々『レコン・キスタ』の英雄だ、続く戦いでも活躍して頂かねば。 ウェールズ皇太子の首は獲れなかったが、トリステイン如きに頼っても後はない。 ガリアもゲルマニアも、我らの理想に賛同してくれたよ。きっとロマリアもそうだろう。 戦後処理と戦争の準備もあり、一ヶ月ほど休暇を与えよう。ま、ゆっくり英気を養ってくれたまえ」 上機嫌に話すクロムウェル。マチルダの旧領サウスゴータは、トリステインを降してから安堵するという。 貴族様に戻る気は薄いが、テファや餓鬼どもの世話もある。くれる物は貰っておこう。 トラクスは包帯を頭に巻いたまま、ベッドに座って黙り込んでいる。やがてデルフが喋りだした。 「なあア、ロングビル、いやフーケ、マチルダ。お前は沢山名前があるんだなあ。 相棒なんか家名もない、ただの『トラクス』だぜ。強いて言えばトラクス・オブ・スキタイアンか? いや、騎士になったからサー・トラクス・オブ・スキタイアンか。デイムってのは女騎士の敬称だったかな」 「職業柄、偽名を使うことが多くてね。一応本名は『マチルダ・オブ・サウスゴータ』さ。 アルビオンじゃあ結構名の知れた家だったんだがね、こないだも言ったがお取り潰しにあっちまって。 理由? さあ、あたしが小娘の頃のことさ、たいして調べる気もないね」 彼女の父親は王弟の大公家に仕えていた、サウスゴータの太守だった。 ところが、大公は密かにエルフを妾としており、娘まで産ませた。 エルフは東の恐るべき、忌まわしき種族。人間を超越した先住魔法の使い手。 マチルダの父親は大公家への忠誠心からエルフ母子を匿い、それを知った王家により家名を取り潰されたのだ。 そして、マチルダとそのエルフの娘『ティファニア(テファ)』は姉妹のように仲が良く、 実家が没落した後もマチルダは彼女に仕送りを続けていた。 最初は普通の商売だったが、メイジの力を振るって盗賊を働き出してからは止まらない。 たちまち彼女は『土くれのフーケ』として悪名を流し、裏世界に染まっていった。 おかげで仕送りは相当の額になり、テファの隠れ住むウェストウッド村も潤う程になったが、 妹分を心配させないため、盗賊稼業のことは内緒にしている。 サウスゴータ家の復興。まさか、こんな形で転がり込んでくるとは。 クロムウェルは怪しい男で、エルフと戦うとか言っているから、テファがすぐ世間に出られるわけじゃない。 半分人間の血が入ったエルフなど、あちらのエルフ社会でも爪弾きだろう。 それでも、サウスゴータ領内にあるウェストウッド村なら、匿っておける。蛮人だって、半エルフだって。 殺戮大好きなデルフと蛮人トラクスを、世間知らずなあの娘に会わせるのは、御免こうむるけれど。 (戦争が終わったら、トラクスとデルフにはスキタイなりゲルマニアなりへ去ってもらうとして、 あたしたちは穏やかに暮らしたいもんだね。随分カネも貯まったし) 「ねえ、ミスタ・ユリシーズ。私、脱走したくてたまらないんだけど」 桃色の髪が、風に揺れる。鳶色の瞳が青空を写す。 ルイズ・フランソワーズは、ロンディニウムの宮殿で、お付きの女官やメイドたちに傅かれていた。 「ご退屈でしょうが、もうしばらくご滞在を、ミス・ヴァリエール。 ご家族はじめ、魔法学院のご歴々やアンリエッタ王女ほか、トリステイン王国には大きな危害は加えませんから。 貴女の存在は、無用な戦火を未然に防ぎ、我々人類の理想を実現する一歩を平和裏に……」 ユリシーズの諂いに、ルイズはびしりと反論する。 「ウェールズ皇太子はトリステインに亡命されたそうね。ワルド子爵様とキュルケが手引きして。 あの方が父王陛下のご遺志を継がれ、貴方たち『レコン・キスタ』に挑むというのが自然でしょう? どっち道、戦争は避けられないわ。姫様もヴァリエール公爵家も、きっと参戦するわよ」 そうなのだ。ウェールズ皇太子という御神輿がおられる限り、ハルケギニア各地のアルビオン王党派は団結する。 手柄と褒賞を求めて、或は戦争の危険を求めて、傭兵や商人連中だって集まる。 トリステイン一国では、アルビオンの空中艦隊には勝てない。でも、ゲリラ戦なら? ゲルマニアと同盟すれば? トラクスがいくら強くても、何万という軍隊に勝てる道理がない。ワルド様などの強力なメイジだっている。 だから、この私を殺す理由も、クロムウェルには無いはずなのだ。交渉の『切り札』として。 「私の存在価値は、『ゼロ』じゃない……」 ゼロ。魔法の才能がなく、胸もゼロ。友達も恋愛経験も、ほとんどゼロ。 自嘲気味に、ルイズはその禁句を呟く。 「ミス・ヴァリエール。まあ、そう御自分を卑下なさらずに。 私だって、子供の頃は失敗続きのいじめられっ子で、よく『ダメッピくん』なんて呼ばれたもんです。 体だって小さかったし、下級貴族なんて平民とそう変わりゃあしませんよ。 家も平民の金持ちから借金してましてね、苦労したものです」 ユリシーズが砕けた口調になる。 「そこへこの革命騒ぎですよ。テューダー王家に恨みはないが、そうたいした義理もあるわけじゃない。 うまく立ち回れば、それなりの地位には成り上がれるかもしれない。 そう考えて、貴族派についたんです。ヴァリエール公爵家のご令嬢には、ご理解し難いかも知れませんが。 たいていの貴族なんて、そんなもんですよ。クロムウェル様だって……おっと」 おどけて口をふさぐユリシーズ。その仕草に、ルイズも女官たちも微笑む。 「ようやく本音で接してくれたわね。貴方の才能なら、結構な地位につけるかも。 ちょっと軽いところはあるけどね。あ~あ、貴方が『使い魔』ならよかったのに」 「いくらなんでも、そりゃないですよ。あははははははは」 皆はつられて、明るく笑い出した。 「で、相棒よお。これからどうする?」 「また戦が始まるんだろう。ワルドやウェールズ、キュルケとまた戦う。 だが、一人二人じゃあ勝てない。向こうも復讐と雪辱に燃え、準備を整えて待ち構えているんだ。 強力な仲間が必要だろうな。フーケに並ぶぐらいのマジナイ師(メイジ)が」 トラクスとデルフは、スキタイ語で会話する。なぜデルフが話せるかは分からない。 一応トラクスも、トリステイン語やアルビオン語を少しは片言で話せるが、やはり使い慣れた言葉がいい。 この世界でも異邦人、『蛮人(バルバロイ)』であり続けるために。 「仲間ねえ。王様の首をちょーん、と刎ねられる仲間かよ。 そういう奴らは、もうクロムウェルの旦那に従って、いい地位についてんじゃあねえか? 街中か王宮へ行って、仲間になるか聞いてきてもらうかよ」 「馬鹿言うな。俺が何と呼ばれている? 悪魔か鬼神扱いだ。 臆病な奴らに怖がられすぎている。この傷痕も、顔つきを一層悪くしやがった」 トラクスが、左の頬からこめかみを撫でる。ワルドとウェールズの『風の鎌』がつけた傷だ。 左眼はどうにか治ったが、三白眼と相まって迫力満点だ。これがなければ、ひょろっとした男なのだが。 「男前があがって、いいじゃあねえか。似合うぜ、サー・トラクス・オブ・スキタイアン。 まったく、長ったらしい名前になりやがって。ナイトだかシュヴァリエだかキャバレーだか知らねえが」 「そう呼んでいるのは、デルフだけだろう。無駄口はいい、思い当たる奴はいないか」 「相棒と一心同体の俺様に、心当たりがあるかよ。フーケの奴に聞けばいいだろ。 もしくは、時々襲ってくる命知らずの馬鹿野郎にさ」 トラクスを狙ってくるゴロツキどもは、命を取られはしないものの、片輪にされて帰される。 伝説の蛮人の恐ろしさを知らしめる方便だが、何日かに一度はしつこくやって来るのだ。 「そうだな、似たもの同士でいいかもしれん。それに雑魚でも数があれば、盾にはなる。 賞金も貰ったし、有意義に使うか」 「有意義ってえんなら、酒場か娼館でも行きゃあいいじゃねえか。ゴロツキだらけだろ」 「俺は、その手の女に近づけないんだ。この『烙印』が疼きやがる」 「伝説の『ガンダールヴ』の証に、そんな効果があるなんて知らねえぞ。 おおかた例の『ご主人様』が嫉妬深くて、馬鹿馬鹿しい効果をつけやがったに相違ねえ。 蛮人丸出しのままじゃあ、碌な事がねえもんな。ひっひひひ」 と、ドアがノックされる。大きな音で、位置も高い。大男の気配だ。 「おいトラクス、噂をすればまたお客だ。今度はどこにする? 耳か? 鼻か? 目ん玉か?」 「黙っていろ。そうとは限らん」 返事をしないでいると、野太い男の声がした。 『おおい、蛮人騎士のトラクスさん。いるんだろ? 返事ぐらいしてくれよ。 あんたの肉は、いい匂いで焼けそうなんだがなあ』 (続く) 前のページを読み直す / 表紙へ戻る / さらにページをめくる
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6167.html
前ページ次ページサイヤの使い魔 アルビオン首都、ロンディニウム。 王城ハヴィランド宮殿の執務室にて、レコン・キスタ総司令官、オリヴァー・クロムウェルの前に一人の従者が現れた。 儀礼的な敬礼をし、懐から一通の書簡を取り出す。 「閣下、例のものが到着致しました」 「ん、御苦労だった。早速中へ」 従者が部屋の外から運び入れたのは1個の飾り気の無い箱だった。 いくつもの中継点を経て、出自は判らないようにされているが、クロムウェルはこれがガリアから送られてきたものだと知っていた。 蓋を開け、中身を確認すると、クロムウェルは従者に頷いた。 「下がってよし」 従者が部屋を出ると同時に、クロムウェルの背後から一人の女性が歩み出てきた。 身体のラインが浮き出る、細くぴったりしたコートを纏い、その顔は深く被られたフードの奥に隠れて見えない。 「やっと来たようですわね」 「ミス・シェフィールド。この時期にわざわざ送り元を伏せてまで調べて欲しいというこれは、いったい何なのだね」 「それをこれから調べますわ」 シェフィールドと呼ばれた女性が箱から貢品を取り出すと、フードの奥で彼女の額が微かな光を放つ。 「確かに、ここ近辺では見ない代物ですわ」 「では、やはり貴女と同じく東方由来のものか」 「のようですわね」 シェフィールドは薄く微笑んだ。 自分はこの道具を知っている。 この道具は東方よりももっと遠く、もっと技術の進んだところから来たものである。 それをこの男に話したところで、真に理解するとは到底思えない。 とりあえず、東方ということにしておこう。 シェフィールドの興味は、既に眼前の男からは失せていた。 彼女が取り出したのは、片目から耳までをすっぽり覆う装具だった。 レンズに相当する部分には緑色のガラスに似たものがはめ込まれ、そこから赤いボタンのついたアーチが耳当てに伸びている。 シェフィールドは目深に被っていたフードを脱いだ。 クロムウェルは輝きを放つ彼女の額に目をやった。 古代語で刻まれたルーン。 シェフィールドが耳当てを自身の左耳にあてがうと、ひとりでに内側のゲル状のクッションが形を変えて、彼女の耳にぴったり合う形状に収まった。 装具を身につけたシェフィールドがクロムウェルに向き直る。 奇妙な形状ではあるが、クロムウェルには用途がさっぱりわからなかった。 「で、それは何なのかね? 一見片眼鏡のようにも見えるが……」 「モノクルではございませんわ。ちょっとしたマジック・アイテムのようなものです」 「聞くところによると、そのレンズに浮かび上がる文字がガリアのものにはさっぱり解読できなかったとか」 この道具の出所は伏せられている。 ガリアから来たというのも、アルビオンでは今ここにいる二人しか知らない。 そこまでしてわざわざシェフィールドに鑑定させる程の価値がこれにあるのか、クロムウェルには皆目判らなかった。 「だからこそ、私の元に運ばれてきたというわけですね。……見つかったのはこれ一つだけですか?」 「いや、あと3つ同じものがあると聞いている」 シェフィールドはアーチ部分に納められたボタンを押した。 ピピピピ…と小気味いい音がして、レンズ越しに見るクロムウェルの身体を黄緑色の線が覆い、傍らに見たことも無い文字が躍る。 驚くべき事に、浮かび上がる文字も彼女が見るクロムウェルも、ピタリと焦点が合っていた。 やがて、レンズにはクロムウェルを指す矢印らしい線と1桁の文字が現れた。 「4」とシェフィールドが呟いた。 「読めたのか!」 「そのようです」 「それで、何が4なのだ?」 「それはわかりません。もっと調べてみないことには」 シェフィールドの答えは半分嘘だった。 手に取るまでも無く、この道具のことは全て頭に入っている。 さっき額のルーンが光ったのは、クロムウェルからは見えない側の手で懐に忍ばせたマジックアイテムに触れたからだ。 ただ、シェフィールドには少し気掛かりなことがあった。 この道具、機能も表示された文字も、確かに彼女の記憶にあるそれと同じだった。 しかし、この形状は彼女の記憶にあるそれとは幾分違っていた。 シェフィールドが知っているものはもっと角ばっていて、ボタンも赤い四角のものではなく白くて丸いものだった。 自分がこの世界に召喚されてから、元の世界で技術の進歩があったのか。 それとも、この道具は彼女の居た世界とも、ここともまた異なる世界から来たのか。 シェフィールドはそれを調べる必要を感じていた。 「4…、4…。おお、そうだ!」 「なにか?」 「今日は紅茶を4杯飲んだぞ!」 「それは全く関係ないと思いますが」シェフィールドの顔を一筋の汗が流れた。 「そうか…」クロムウェルはがっくりと肩を落とした。「他に判ることは無いか?」 「この道具の名前が判りました」 「何というのだね?」 チェシャ猫のような微笑をその口元に漂わせたまま、シェフィールドは言った。 「スカウター、ですわ」 悟空の――60人前にも及ぶ――夕食が終わった後、アルビオン極秘任務組は、今ではただの物置き場と化した中庭の連兵場へと足を運んだ。 吹き抜けになった連兵場の上からは月明かりが煌々と降り注ぎ、隅に積まれた樽や空き箱が暗い影を地面に落としている。 キュルケが場内のそこかしこに設えた松明に明かりを灯し終えると、墓場のようだった連兵場に生気が戻ってきた。 ルイズが素直な感想を口にした。 「ただの高級な宿だと思ったけど、まさかこんな場所があるなんてね」 「この宿は昔、アルビオンからの侵攻に備えるための砦だったんだよ」 連兵場の中央に佇んだワルドがそれに答えた。 そこから20歩ほど離れたところに立っている悟空に向き直る。 「昔……といっても君には判らんだろうが、かのフィリップ三世の治下には、ここでよく貴族が決闘したものさ」 「へえ」 「古き良き時、ロングロングアゴー…じゃなかった、王がまだ力を持ち、貴族たちがそれに従った時代……。 貴族が貴族らしかった時代……。名誉と誇りをかけて、僕たち貴族は魔法を唱えあった。 でも、実際は下らないことで杖を抜きあったものさ」 「強えヤツと戦いたいからってのは無かったのか?」 「もっと古く、グラップラーの時代はそれもあったかもしれないが、生憎僕たちの頃にはそういうのは無かったね」 「なーんだ」 つまらなさそうに言う悟空に、ワルドは思わず苦笑いを浮かべた。 そうか、この男はそういう時代の精神を受け継いだ人間なのか。 ワルドは貴族だが、強さを求めるというこの男の言い分は非常によく理解できた。 自分も、かつてガムシャラに強さを追い求めた時代がある。 名誉だとか誇りだとか、そんなものは後から付いてくるものだと思っていた。 唯一の肉親であった母親を亡くした、あの日までは。 「さて」 ワルドは物思いを断ち切るように言った。 「準備も整ったことだし、そろそろ始めようか、使い魔くん」 「ああ。…ところでよ、おめえは何のメイジなんだ?」 「僕の属性は『風』。風のスクウェアメイジだ」 ワルドは腰から杖を引き抜き、フェンシングの構えのように、それを前方に突き出した。 対する悟空はワルドに対し真正面を向き、下げた両手を軽く握り、足を肩幅に開いたまま、微動だにしない。 互いに動かず、その姿勢のまま数十秒が経過した。 「なによ……さっきから2人とも動かないじゃない」 「ダーリンったら、子爵様が相手だってのにやる気ないのかしら…?」 当惑げな顔を見せる観衆の中で、タバサとギーシュだけがこの状況を理解していた。 「……隙が無い。気配も感じない」 「だな…。子爵殿もそのせいで、最初の一歩をなかなか踏み出せないでいる」 心臓が早鐘を打っている。 立っているだけで呼吸が乱れる。 まったく、何というプレッシャーだろう。 こうして対峙しているだけで押し潰されそうだ。 ワルドは乾いた唇を舐め、今や自分の数倍の大きさにさえ見える悟空の隙を伺い続けていた。 相手がこちらに向かってきたのを切り捨てようと思っていたのだが、逆にこちらが誘われているかのようにすら感じる その時、燃え盛る松明の火種の1つが、パチンと音を立てて爆ぜた。 それを合図に、ワルドは殆ど反射的に悟空へと突進した。 2歩で間合いを詰め、相手の胴、腕、腰、それらを目にも留まらぬ速度で連打する。 それを驚くべき反射速度で巧みにかわしながら、悟空はワルドの予想以上の速さに内心驚き、そして少し喜んでいた。 ギーシュの高速型ワルキューレよりもずっと速い。 常人には切っ先を捉えるどころか、剣筋を見ることすら叶わないだろう。 「いいぞいいぞ! メイジなのに思ったより速ぇじゃねえか!!」 「それ…はっ、ど、う、もっ!」 余裕綽々の悟空とは対照的に ワルドは既に限界に近い速度で突きを繰り出していた。 自分とてスピードには自身がある。「閃光」の二つ名は伊達ではない。…つもりだった。 焦りから、徐々に呼吸が乱れ始めた。 一旦後ろに下がって距離を取り、乱れた呼吸を整える。 「確かに素早いな。流石は伝説の使い魔だ…」 おまけに隙が無い。 突きをかわしているその最中にも、全く隙を見出せなかった。 まるで赤ん坊扱いではないか。 ワルドはルーンを低く呟き始めた。 「デル・イル・ソル・ラ・ウィンデ……」 悟空の耳にそれは届かなかったが、徐々に大きくなるワルドの気が魔法が来ることを雄弁に物語っていた。 ワルドの気の上昇が止まる。と同時に、悟空の左側の空気が撥ねた。 「っと!!」 咄嗟に左腕で受け止める。 衝撃で、防御体制のまま悟空の身体が5サントほど地面の上を擦れた。 奇襲攻撃を軽々と受け止められ、ワルドは一度も攻撃されずして早くも窮地に陥りつつあった。 相手の虚を突く戦法が悉く功を成さない。 ならば魔法と体術、両方をフルに使って戦ってやる。 「ラナ・デル・ウィンデ」 ワルドは素早くエア・ハンマーのルーンを詠唱した。 それをを悟空の正面に叩き込み、自身も再び間合いを詰めるべく地を蹴った。 が―― ドンッ! 目に見えない何かがエア・ハンマーに炸裂し、その後ろから突っ込んできたワルドにモロにぶち当たった。 「ごぶっ!!!」 ワルドは地面と平行に10メイル以上飛び、連兵場の隅にうず高く積まれた樽に激突して止まった。 粉砕された樽がガラガラと崩れ落ちる。 「あ、お、おい! 大丈夫か?」 とりあえずエア・ハンマーを気合い砲で粉砕したつもりが、その後方から迫ってきていたワルドをもぶっ飛ばしてしまった悟空が慌てて駆け寄った。 樽の残骸の山からワルドを引っ張り出す。 鼻血と涎を垂らし、木屑にまみれたワルドの目は焦点を失っていた。 「勝負あり」 タバサが呟いた。 タバサのヒーリングで外傷は癒えたが、ワルドは脳震盪を起こしていたため、彼が目を覚ますまで一行はしばし自由行動を取ることになった。 ルイズは片時もワルドの傍を離れず、甲斐甲斐しく世話を焼いている。 悟空とギーシュはルイズが買い込んだ土産を置きに瞬間移動で一度トリステイン魔法学院へと戻っていた。 (悟空一人で良かったのだが、ギーシュがヴェルダンデの様子を見なければ僕は死んでしまう!と言って半ば強引についてきた) タバサとキュルケはラ・ロシェールを観光中。 フーケは姿を暗ましていた。 「今にして思うと、僕は何て無謀だったんだろうね」 「何がだ?」 ルイズの部屋に荷物を運び込んでいるギーシュがぽつりと洩らした。 「スクウェアの子爵ですらあの有様だろう? 僕だったら死んでるよ」 「いやあ、手加減したから多分死にゃしねえと思うぞ」 「あれで手加減なのか……」 ギーシュの顔が蒼白になった。 そういえば、あの時のゴクウは金髪になっていない。 ルイズが言うには、あの姿になると普段以上にとんでもない強さになるんだそうだ。 下手したら彼一人でレコン・キスタを相手に戦えるんじゃないかとギーシュは思った。 「だけど、あいつでスクウェアなんだろ? オラもっと強えヤツと戦いてえんだけどな」 「いや十分常人離れしてるから。…う~ん、子爵殿でも不満だと、あとはオーク鬼とかエルフとかでないとゴクウの相手は務まらないんじゃないかな」 「オークオニにエルフ? そいつら強えのか?」 「オーク鬼は、1匹で人間の戦士5人分に匹敵すると言われてるね。 エルフは……、正直口に出すのすら恐ろしい。なんせその戦力は人間の10倍とも20倍とも言われてる。 正直、マトモな人間なら出会うことすら考えたくない」 「へえ…。なんかオラ、そのエルフってヤツとちょっと戦ってみてえな」 「ウワァァァン言うと思ったー!!」 思わず頭を抱えて嘆く。 なにげに悟空の性格を誰よりも理解しつつあるギーシュであった。 「ところでギーシュ、そろそろおめえのワルキューレと組み手してえんだけど」 「何でさ…? 僕のワルキューレじゃもうゴクウの相手をするには役者不足なんじゃないのかい?」 「まあ、一対一だとそうなんだけどよ。大勢をいっぺんに相手するってのは、あれはあれで結構面白えんだ」 「そうなのか…。そういうことなら。実はちょっと温めていた戦術があるんだ」 「なんだ、おめえもやる気あったんじゃねえか」 「まあね」 ギーシュが実体化させた4体のワルキューレを見た悟空は、その形状がまた変化していることに気付いた。 1体1体が、上半身にゴツい甲冑を着込んでいる。 力重視、速度重視ときて、今度は守り重視なのだろうかと悟空は思った。 「準備はいいかい?」 「ああ、いつでもいいぞ」 「では!」 ギーシュが造花を振り下ろすと、ワルキューレが悟空を取り囲むように距離をとった。 移動速度は通常のワルキューレと大差ないようだ。 1体が繰り出したパンチを軽く受け流し、もう1体の体当たりを馬飛びの要領でかわす。 時折攻撃を当ててみると、幾重にも重ねられた複合装甲がわずかに凹んだ。 やはり、装甲を重ねることによって衝撃を分散させる防御重視のワルキューレのようだ。 その証拠に、攻撃がのろい。 だいたいこのワルキューレの性能が判ったので、悟空が反撃に転じようとすると―― 「キャストオフ!」 ギーシュが叫んだ。 その命令に従って、ワルキューレたちが腰部に取り付けられたレバーをいっせいに倒す。 すると、上半身の重装甲がバラバラと外れて地面に落ちた。 中から出てきたのは、前よりも一層装甲が薄くなった速度重視型のワルキューレ。 更に落ちた4体分の装甲も、再度ギーシュから放たれた薔薇の造花によって速度重視型のワルキューレへと姿を変えた。 総勢8体の速度重視型ワルキューレが悟空に襲い掛かる。 さっきまでのろい動きのワルキューレに慣れていた悟空の反応が僅かに遅れ、1体の攻撃が髪を掠めた。 「うわっとっと!!」 即座に速くなったワルキューレの攻撃に順応し、姿が掻き消えるほどの超高速移動でワルキューレの包囲網から抜ける。 それでもう悟空に勝てる見込みは無いと判断したのか、ギーシュはワルキューレの錬金を解いた。 「どうだった?」 「いやぁ、おでれーた! 自分で言うのもなんだけど、オラじゃなかったらあの速えほうのワルキューレにやられてたぞ」 「一度遅い攻撃に慣れさせて、後から早い攻撃に転じるのがこの戦術の要だったんだ。そう言ってもらえると考えた甲斐があったよ」 「あとは…そうだな。ギーシュ、いったん外したヨロイを動かすことってできるか?」 「できるよ。原理はワルキューレを動かすのと同じだからね」 「じゃあさ、外したヨロイをそのまま落っことすんじゃなくて、相手にぶつけちまうってのはどうだ?」 「なるほど! 確かにそうすれば攻撃にもなって一石二鳥だ!! ありがとう、参考にするよ!」 「さて、それじゃそろそろ戻ろうぜ」 「ああ! ゴクウ、今日はありがとう」 その日の夜、目を覚ましたワルドは付き添っていたルイズに求婚した。 日がな一日彼と過ごしていたルイズは、その言葉を聞いた直後に顔をぱあぁっと輝かせたものの、すぐに暗く、落ち込んだ表情になった。 その様子を見たワルドは、心配になって声をかけた。 「……嫌かい?」 「…ううん、嫌じゃない。嬉しいわ」 「じゃあ、何でそんなに悲しそうな顔をしているんだい? 僕のルイズ」 「…………わたし、貴方に相応しくない」 「え?」思いがけないルイズの言葉に、ワルドの眠気は彼方へ吹き飛んだ。「いきなり何を言い出すんだ。君が僕に相応しくないなんて、そんなことは無いよ」 「ほんとう……?」 「本当さ。現に君は、あんなに強くて素晴らしい使い魔を召喚しているじゃないか」 「でも……ゎ…」ルイズの声が切れ切れになる。 「何だって?」 「でもわたし、何も変わってない……」 ルイズの目から、涙が零れ落ちた。 「ゴクウは…ゴクウはガンダールヴだって先生が言ってた。伝説の使い魔のルーンだって。 でもわたし、そんな凄い、使い魔を、召喚したは、はずなのに、ち、ち、ちっとも、変わっ、て、ないの……」 とうとうルイズは泣き出した。 大粒の涙が、しゃくりあげるルイズのブラウスを濡らしていった。 「ぜ、ぜ、ぜろな、の。わたし、まだ、ゼロの、ルイズ、なの………」 (知っていたのか…あのルーンがガンダールヴだって) 10年前、ラ・ヴァリエール家の領地の池でそうしたように、ワルドは子供のように泣いているルイズを優しく抱きかかえた。 http //roofcity.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/upload/src/up0088.jpg 前ページ次ページサイヤの使い魔
https://w.atwiki.jp/abcdmousou/pages/432.html
行軍演説 Sorcery 4(炎炎) / 0f あなたの全てのクリーチャーは(+1 / +0)の修正を得る。 -- 今日からお前たちは無能な兵士を卒業する。お前たちはプラナリアだ! サー!イエッサー!!! 生きるか死ぬかの瀬戸際だ!どうだ、楽しいか? サー!イエッサー!!! 俺たちの特技は何だ? 殺せ!殺せ!殺せ! この戦争の目的は何だ? 殺せ!殺せ!殺せ! 俺たちは赤国を愛しているか?大統領を愛しているか? ガンホー!ガンホー!ガンホー! 全員突撃!!! http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/27456/1135510382/949 コメント欄 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/c21coterie/pages/250.html
演説に戻る 演説に戻る。 蜘蛛型ロボギガンダムを背に、悪魔軍総大将の演説はまだ続いていた。 軍人の常として演説は手短なものだ. ギガンダムは作戦内容と演説を照合する。 砂の星ガルド。 貴重な鉱物資源を産出し、長い群雄割拠と無数の地元勢力を持つ星である。 この星では両軍による勢力争いが繰り広げられ、地元勢力を傘下に収めるための知謀策謀から激戦までが繰り広げられている。 悪魔軍オオガタナの管轄だったこの星は今、オオガタナの不名誉な死を理由に天使軍の方にバランスが大きく傾いている。 数多くの部隊が悪魔軍からの離脱を表明した。 致命的だったのはガルドの有力貴族連合、砂の知恵までが悪魔軍との同盟破棄を発表。 天使軍・悪魔軍から上手に利益を引き出し適度に日和見してきた彼らだが、天使軍ハインリヒの同盟に暫定調印。 巨大な同盟が結成されもはや悪魔軍は砂の星から追い落とされようとしている。 このバランスを取り戻すために、ギガンダム、規格外のサイズとパワーを持つ彼が、直々に出向くこととなった。 ギガンダムの超パワーで各基地を攻略することで悪魔軍に力ありと見せつけ同盟を引き戻す。 最終的にはハインリヒの同盟を崩すのが目的だ。 演説を聞く限り特に変更はないらしい。 ギガンダムはゆっくりと部隊を眺めている。 ギガンダムの顔が少し動くと、そのたびに見られた方は、一瞬物おじする。 戦闘前のギガンダムの巨体にはどこか威圧感がある。 戦いの気がでてくるのだ。 ギガンダムに睨まれた誰もが歴戦の勇士としての毅然とした態度をとりギガンダムにも負けないぞと胸を張り、そしてこんなすごいのが味方なのかと安心するのだ、その時の反応が妙に似通っていて少しおかしかった。 整列した部隊の端、壁際にライジン、フウジンの姿を見つけた。 名前の通り雷と風を操り、仁王像のような精悍なボディに高い戦闘力を持つロボだ。 オオガタナの両腕として幾多の戦いを勝ち抜き10神将に名前を連ねた両氏である。 部下になるならオオガタナ、それが無理ならフウジン・ライジンと言われたほど部下の面倒見がよい。 兵士たちから人気のある彼らだが、尊敬していたオオガタナを失って以来、不遇の窮地に達している。 今回の作戦では、宇宙軍を指揮しその後はガルドで活動をして名誉挽回を果たすはずだ。 ギガンダムは何となく彼らのことが気になり、聴覚センサーを向けてみる。 ライジン「例の件砂漠の星での宣撫工作だが、、、」 フウジン「離脱した連中、、、話だな」 ライジン「、、部下たちのなかに昔のように気楽に、、、砂の星ならそれができると、、、」 フウジン「、、、誘ってくるものが、、」 ライジン「、、、部下の気持ちもわからないでも、、、」 フウジン「俺たちの理想はもうこの悪魔軍では、、、、もしものときは、、、」 ライジン「、、ギガンダムの働き次第か、、、」 話そのものは問題ない。 彼らは、ギガンダムの活動と並行して砂の星での宣撫活動、離反した部隊に対する説得活動を行う。 だが少し気になる会話だった、より精度を上げようとする。 その時、総大将の演説が終わった。 演説が終わると同時に全部隊は戦艦へと移動を始め、ライジンとフウジンも自分の部隊をまとめるために壁際から離れる。 会話の内容がおかしい気もしたが、出撃となれば時刻通りに出なくてはいけない。 演説を終えた悪魔軍総大将はギガンダムに敬礼をし、ギガンダムも敬礼をし直してドックにある最も大きな宇宙船へと向かう。 ギガンダムは2人のことを一瞬怪しいと思ったが、ただでさえ不遇な二人である。 オオガタナの子分としての2人にあった時、よい指揮官だと思い、好感触を得た記憶もある。 会話が少し怪しいというだけで告発するわけにもいかなかった。 何よりオオガタナの子分達なのだ。 気持ちを切り替えたギガンダムはドックに並ぶ宇宙船へと向かっていく。 巨大輸送機ギガントス、悪魔軍一の大きさを誇る惑星間輸送機である。 そのギガントスですらギガンダムを格納することはできない。 背中に乗ってもらうことにしたのだ。 全員が見守る中、ギガンダムは輸送艦に足をかける。 Gを弱めた人工重力だというのに輸送艦は普通ではありえない沈み込みを見せギガンダムの大きさを再認識させる、これを見ていた部隊に驚きが広がるが、これは衝撃吸収にすぎないので問題ない。 慎重に足をかけまたがり8本の足を密着させた。 バランスを確かめる。 どうやら計算通り安定するらしい。悪魔軍の艦は丈夫にできている、これなら艦に張り付いたまま背中の武器で援護攻撃もできるかもしれない。 ギガンダムの武器は人類制の強力なものであり、この世界では戦艦よりも強力だ。 援護は十分に役に立つだろう。 ギガンダムが落ち着いたことを確認した部隊は次々と艦に乗り込む。 ドックから艦は一隻ずつ発進していった。 一隻ずつ虚空へと消えていく。 総大将は全艦の出撃が終わるまで敬礼をし見送った。 一隻一隻が順番にドックから離れるたびに彼は敬礼を行い、部下もそれに呼応した。 そうして全艦が視界から消えるまで見送った総大将は踵を返した。 司令部には彼の決断を待つ仕事が山積みなのだ。 両軍が制宙権を争う暗黒惑星の乱戦、デブリ多発宙域での小競り合い、切り札としての隕石の軌道確保、悪魔軍本拠地のある宙域での防衛力強化。 彼は有能で活動的なロボであり、彼の采配をまつ宙域が他にも無数に存在する。 居住可能な惑星だけでも10を超える。 同時に20を超える戦線や大規模な作戦が存在し、その半数が一時休戦や膠着状態といえど、半分は激戦が繰り広げられているとなれば彼の仕事は多い。 希少金属を大量に産出するガルドの制圧は重要な作戦だ。 部隊を直に指揮したいという気持ちを抑えた彼は、その気持ちをギガンダムへのエールとして通信で送ると、そのまま総大将は次の仕事に取り掛かった。 エールを受けた宇宙船団は進む。 目指すは砂の星ガルド、天使軍ハインリヒの築いた要塞網の破壊。 全員が高い戦意で進撃していく。 一方その頃天使軍は 一方その頃天使軍は2、少し大人向け版 名前 コメント すべてのコメントを見る - -
https://w.atwiki.jp/gods/pages/109848.html
エリザベスバウチャー(エリザベス・バウチャー) イングランド王の系譜に登場する人物。 関連: オリバークロムウェル (オリバー・クロムウェル、夫) ロバート(4) (子) オリバー (子) ブリジット(3) (娘) リチャードクロムウェル (リチャード・クロムウェル、息子) ヘンリークロムウェル (ヘンリー・クロムウェル、息子) エリザベス(8) (娘) ジェームズ(2) (子) メアリー(7) (娘) フランシス (娘) 別名: エリザベスボルチア (エリザベス・ボルチア)